住宅医スクール2015 大阪 第3回のご報告

8月29日(土)、住宅医スクール2015大阪・第3回が開催されました。
「木材の劣化と対策①」「木造建築物の耐久性能と維持管理方法①」
「木造建築物の耐久性能と維持管理方法②」「住宅改修事例を語る-③」
という4つの講義が行われました。
第1講義「木材の劣化と対策①~生物劣化の基礎」
簗瀬佳之 氏/京都大学大学院農学研究科助教
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第1講義は、簗瀬佳之氏より木材の主に生物劣化について講義が行われました。
シロアリ、乾材害虫、木材腐朽菌等による劣化ついては混同してしまいがちですが、
種類や特性を整理してわかりやすく説明していただけました。
それぞれの被害例の写真も多く、視覚的にも劣化を理解することできました。
 
第2講義「木造建築物の耐久性能と維持管理方法①」木造建築物の劣化、診断、補修の基礎
中島正夫 氏/関東学院大学 建築・環境学部教授(住宅医協会 代表理事)
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第2講義では、木造建築物の劣化の基礎知識として、蟻害・腐朽の実態調査結果、
薬剤処理と構造性能の関係、接合金物や集成材の耐久性について講義して頂きました。
 
第3講義「木造建築物の耐久性能と維持管理方法②」木造住宅劣化事例Q&A
中島正夫 氏/関東学院大学 建築・環境学部教授(住宅医協会 代表理事)
西久保美和氏/しましま設計室
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第3講義では、維持保全計画のあり方や手順。また木材の
割れや蟻害・腐朽などの診断方法や補強の基礎知識の講義が行われました。
講義の後半ではQ&A形式で木造住宅劣化事例が紹介されました。
住宅調査で実際に見られた様々な劣化事象について、
疑問に思ったことなどを西久保氏から中島氏に問いかけ、意見をいただきました。
調査中によく見るけど何だかわからない…というものが判明し、
すっきりとされた受講生の方も多いと思います。
 
第4講義「住宅改修事例を語る-③」土壁を活かした改修設計手法
高橋昌巳氏/(株)シティ環境建築設計代表
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最終講義は京都・東京で設計をされている高橋昌己氏の改修事例の講義です。
三和土叩き土間や土を使った壁の活用例を、デティールまで惜しむことなく
説明していただける貴重な講義となりました。
また現代の工事現場では一般的となったプラスターボードは破棄の
段階でエネルギー・手間が多く必要な事に触れ、自ら木小舞の下地を研究し、
塗壁の下地に使用している事例など、考えの深さを感じました。
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午前中の講義が終わった後、2011年から住宅医スクールを
受講していただいていた中根えみ子さんに修了証が送られました。
今まで受講できていなかった講義を一限目で履修できたからです。
以上で第3回の4つの講義は終了し、その後懇親会も開催されました。
次回は防腐防蟻、また構造をテーマにした講義が行われます。
皆様のご参加をお待ちしております。
(関西事務局 日野)