投稿日:2017年05月09日

事例報告(改修事例)2017-68


花小金井の家改修事例報告
報告者:設計事務所サイク 佐藤裕希子

設計監理:設計事務所サイク 佐藤裕希子
工事期間:2015.9-2015.12
所在地:東京都花小金井市
構造:木造軸組2階建て
建築時期:平成元年
延床面積:89.84m2(増築9.93m2)
補助:長期優良住宅リフォーム推進事業採択


■概要および改修に至った経緯
もともとは都心の賃貸住宅に居住していたものの、子供の成長を機に長く住み続けられる住居の相談に来られました。当初は新築での相談でしたが、自分たちの予算で手に入れられる住居は限られてくるため、より良い立地・住居を求め中古住宅の改修も選択肢のなかに組み込むことで実現しました。
敷地が小金井公園の南東に面しており、一年を通して四季を感じられる場所であることを施主が大変に気に入られておりましたが、施主の奥様が戸建てに居住したことがないことで冬の寒さや中古木造住宅の耐震性能を心配されておりました。

<01_改修前平面図>

<02_改修後平面図>
■改修内容
まずは施主が抱いている不安(耐震性能・温熱性能)を取り除くこと、既存プランの使い勝手の改善を改修の主目的として設計を進めていきました。打ち合わせを重ねるなかで、施主の表情に物足りなさを感じとりました。そこで将来的な改修案という形でリビングの増築を提案したところ、施主の強い希望により本工事で増築が可能となりました。リビングを敷地形状に合わせた形で台形とし、サッシ幅も広くすることで公園を内部へと取り込みました。また、施主夫婦は自宅で別々の仕事をしています。奥様の仕事場をダイニングとリビングを見渡す箇所に配置することで、家事や育児をしながらの仕事が可能となり、ご主人も希望であった個室の仕事場を得ることが出来ました。
他、住宅医の調査をもとにした性能向上は下記の通りです。

<耐震性能>
一般耐震診断の評価0.75→1.0以上を確保。
基礎は一部にクラックがあったものの、鉄筋探査によると有金で状態も良好。図面通り筋交い(金物有)も入っており、柱頭柱脚金物も設置してありました。耐震診断の評価をもとに筋交いの追加と柱頭柱脚金物の追加。1階床全てと2階床オーバーハング部に24厚の下地合板を設置。

<温熱性能>
断熱等性能等級4確保。断熱材は全てやり替え、外部開口部のアルミサッシ全てを複層ガラスに取替え、玄関戸も木製断熱戸に取替え。

<バリアフリー>
1階床は下地合板からやり替え、2階床はフローリング張替えにより全ての部屋にあった段差を解消した上、階段は段数を増やすことで、勾配を軽減。
<劣化対策>
屋根は費用に見合わなかったため、洗浄後塗装をするのみになったものの、外壁は補助金を得ることで全て通気工法でやり替え。

 


<03_住宅医調査01>
<03_住宅医調査02>
調査人員は6名の少数精鋭で1日の調査。調査後は診断レポート作成時と解体工事後、竣工後の3回に渡り調査を行った者による報告会を開催しました。

 

 


<04_改修前外観>


<05_改修後外観>

<06_改修前ダイニング>

<07_改修前リビング>

 

 


<08_改修後ダイニング>

 

 


<09_改修後リビングダイニング>


<10_改修前和室>
 


<11_改修後和室>
当初予算をはるかに超える提案であるにもかかわらず、設計趣旨を理解し、高い価値を見出し実現したことがこの敷地でしか得られなかった改修へと繋がりました。今回設計には含まれなかった2階への便所の設置など将来を見据えた話を施主と出来たことも、住宅医としての今後のかかわり方を考えるきっかけとなり感謝しています。