投稿日:2017年09月11日

住宅医コラム 意見交換2017-82


「トイレコラム」
トイレ設計手法 ~ 事例から見るトイレ空間①
三澤文子(Ms建築設計事務所)

 

9月から11月まで3回。秋のトイレコラムはトイレ内部について、つまりトイレ空間について3名の住宅医が設計したトイレ事例を紹介していきたいと思います。
まず9月は、故・三澤康彦さん設計の「姉妹の家W邸」のトイレです。
姉妹の家W邸は、2階にリビングがあり、トイレは1階・2階の2か所にあります。1階は土間空間の玄関。いずれ“隠れカフェ”もできれば、といった住まい手の意向によるものだそうです。
1階のトイレは、0.5坪のシンプルなもの。2階がメイントイレということで、2階に注目してみます。

1階平面図

 2階平面図

 

2階は、キッチンを中心とした、リビングダイニングです。その一角にメイントイレがあります。キッチンからパントリーを挟んで位置するので、そこそこ落ち着いた場所になっています。
廊下につくられた小棚がそのままトイレの中に続いていて、小棚によって出来る袖壁をFIXガラスにして奥行きを出しています。ここは透明ガラスにしても、中にいる人が見える心配はありません。また、トイレに小窓をつくらなくても、使用中かどうかが解ります。

 

 

トイレ内部の詳細図に寸法が描かれでいるとおり、FIXガラスの袖壁をつくったので、入口有効は670㎜と少し狭いのが残念です。小棚を70㎜くらいにすれば有効750㎜以上はとれたと思いますがいかがでしょうか。
手洗台の奥行きは330㎜。外壁が斜めに傾いている部分を上手く利用しつくっています。

 

窓は小さく便器の上部に。そして換気扇は目立たない手洗い台上部の、垂れ壁の内側につけています。

 

図面のとおりのトイレ内部、間接照明になっているので落ち着いた良い空間です。耳付き胡桃板の手洗い台天板が柔らかい曲面をみせています。

手洗い台の下は、便器に遠い側に建具が付いた収納があります。便器に近い方はオープンになっていて、天板から幕板を設けて、紙巻き器と便器操作盤を取りつけています。便器に座って右手の壁は建具の引きしろで、紙巻き器などを付けることができませんので、手洗い台の下に付けることはよくあります。ちなみにこの紙巻き器、住まい手さんのお願いで、羽根建築工房の棟梁・西さん手づくりの製紙巻き器だそうです。

手洗ボールは陶芸家・糸井康博さん作。それでITOIボールと名付けられています。色々な形がありますが、ここでは、小ぶりで四角に近づけた円形深めのボールです。単水栓は
TLC11C2/TOTO。ずいぶん前から、手を洗った後、水栓をひねる際に天板に水か垂れるという苦情対応でこのタイプの水栓にしています。

天井板は杉の赤味の無地。壁は珪藻土塗り。細部まで気を配ってつくられている感があり、さりげなく優しい、そして安らげるトイレ空間になっていると思います。