投稿日:2017年08月10日

住宅医コラム 意見交換2017-81


「トイレコラム」
トイレの窓 ~ 窓は無くても良いのでは?
三澤文子(Ms建築設計事務所)

 

ひところは、戸建ての住宅のプランでは、トイレに窓が無いのは大問題でした。
ガレージ側に面して、窓が付かないプランになってしまったりすると
「上手くおさまっていない!」ということになったものです。
ところが最近は便器の性能が著しく良なり、脱臭効果も素晴らしいため窓の必要性が薄れてきたように思います。
窓の機能を挙げてみますとまず換気が挙げられますが、換気扇が始終作動している換気方法をとるため、
「換気扇に任せておけば良いのでは?」ということになります。
明るさで言えば長時間滞在する場所でもないので「照明をつければ問題ないのでは?」ということに。
ということで、どうしても窓が無くてはならない。という理由が薄まっていると思うのです。
特に改修の場合、どうしても窓がつくれない。というケースも出てきます。

 

 

図面は、長屋2件を2世帯住宅に改修した事例ですが、子世帯、親世帯ともトイレは外に面していません。
むしろ、そもそもトイレに窓をつくらなければならないという考えを無くすと、
自由度が増しさまざまな要望に応えられるプランになるように思います。

 手洗い台の前が鏡になります。

 

 便器の奥は、飾り棚。間接照明になっています。

 

明るさも照明で自在にコントロールすることが出来ます。私自身は少し暗めがいいのですが「明るいトイレが良い」となれば、
間接照明との組み合わせで、2灯の照明を設けることもあります。

そんなことで、このような改修の実績から新築でも窓の無いトイレを提案することが多くなりました。
ただ、いまだに窓無しトイレが却下されることも多いのですが、
その理由は「やはり採光(日射)がほしい」「風通しを良くしたい」といったところです。
この意見ももっともですので、そんな時は窓のあるトイレを素直につくるようにいたします。

図面は、外部と言ってもガレージに面するためやはり窓の無いトイレ。
このプランでも、当初からトイレに窓はつくらないつもりでのプランニングでした。
この住まい手はかなりキレイ好きな方で、掃除のことは気されていて
「便器の向こうにある小さな窓の掃除は大変なので窓は無くて結構です。」とあっさり言われました。
なるほど、トイレの窓ガラス、窓台の拭き掃除をマメにされている方は尊敬しますが、
たいていなかなか手が廻らないのではないでしょうか。

ヴォ―ルト天井のトイレ。便器の向こう側はガレージになります。

 

トイレは一人で短時間入る場所なので、絵を一つ飾ってほしいと思い一面は絵の映える壁をつくります。
いずれにしても、トイレは良い空間にしたいと思います。

投稿日:2017年07月10日

住宅医コラム 意見交換2017-80


「トイレコラム」
トイレの掃除へのアドバイス~ 設備屋さんから話を聞く第2弾
三澤文子(Ms建築設計事務所)

 

先月に続き、給排水衛生工事の実務者である住宅医スクール講師の清水基之さんの
「トイレ関して」のご意見です。

今週は、「トイレ掃除へのアドバイス」についてうかがいます。

 

清水さん 「それとトイレの掃除のことですが・・・・小便器でも洋式便器でも男性が立って用を足すと、必ず便器の外に尿が飛び散っています。

床の外、壁にも飛び跳ねが見受けられます。壁紙が黄ばんでいる住宅もあります。

メンテナンスなどで、トイレのお客様のトイレの中に入ることが多いので良くわかります。

まず、こぼれた尿は便器を伝わり床に垂れます。

床材が合板の場合は、尿のアンモニアが床材に染み込み悪臭を放つようになります。

こまめに掃除を行えばよろしいのですが、基本は座って用を足されるといいですね。」

 

三澤ふ  「洋便器の場合は、男性には座って用を足していただく。

という結論はこのコラム4月号の『トイレの仕上げ』でのトピックでもありましたが、立って用を足す小便器でも、便器の外に尿が飛び散るということでしょうか?」

洋便器の正面に小便器があるこの住宅では、奥様から「正面に小便器が見えるのは嫌だ。」との意見がでた。

施工途中でのご意見だったのでプラン変更も出来ず、「小さなタピストリーで区切ればそこに目が行き、気にならなくなるのでは?」という提案に納得いただき、ひと安心した事例。

 

清水さん 「小便器も使い方によります。『一歩前に』とあるように、便器面に12cm以上離さずに用を足していただければ、尿ハネは起こりにくいです。これら、実験で確かめられているようです。」

 

三澤ふ  「トイレ掃除の話題になった時は、住まい手さんに、こんなアドバイスも必要ですね。」

 

清水さん「それと、便器内の掃除のことについて一言。

最近掃除が簡単なトイレも出てきていますが、メンテナンスフリーではなく適度に掃除が必要です。

掃除なしでは水垢は簡単に付着します。

便器が陶器の場合は、掃除はたわしなど硬いもので擦らないほうがいいですね。

表面のコーティングがはがれ汚れが付きやすくなります。

また、便器が樹脂(パナソニック)の場合ですが、擦れば樹脂自体に傷がつくので、その傷に汚れが付着しやすくなります。」

便器はアラウーノ (パナソニック)樹脂製便器。民家改修での2階トイレなので、大きな小屋梁がトイレ内に見えて面白い。手洗いは信楽焼でキレイな青が清潔感を感じさせる。

 

三澤ふ 「樹脂製のものは、傷つくのは、わかりますが、陶器製もコーティングがはがれて、汚れが付きにくくなるとは思いませんでした。

パナソニックのアラウーノは価格も安いことから良く勧めますが、『やはり陶器製は良い。』という方もおおいです。

アラウーノなので、自動掃除付きですか?などと言う質問には『それは期待してはダメです。』としっかり言っておりますので安心してください。」

 

まだまだ質問は続きましたが、つづきは、住宅医スクールの講義の中で質問させて頂きます。

 

ちなみに、東京スクールは10月12日(木)、大阪スクールは11月25日(土)、富士スクールは11月20日(水)に、「設備の劣化診断と対策」の講義が予定されています。

 

投稿日:2017年06月08日

住宅医コラム 意見交換2017-79


「トイレコラム」
トイレの設備 ~ 設備屋さんから話を聞く
三澤文子(Ms建築設計事務所)

 

住宅医スクールの講義に「設備の劣化診断と対策」があります。設備に関する講義は他にないので、大変貴重だと評判が良いのですが、それは、給排水衛生工事の実務者である講師の清水基之さんの、わかりやすい説明が、人気の秘密なのではないかと思っています。

そこで今回、「トイレ」に絞って、設備屋さんからの「思うところ。」をうかがってみました。

これから先は、対話形式で続けます。

 

清水さん「トイレに関して、ですね。わかりました。最近の便器は節水トイレが多くなりました。

そのため排水のつまりでメンテナンスに出動することが増えてきています。

配管の勾配・管径は、トイレの水量が13リットル程度流れることを想定して設計されています。

近年各メーカーがこぞって節水便器をつくり始め、管径と水量のバランスが取り難くなり、<つまり>が多く発生しているというわけです。

水量が少ないため管内に汚物が滞留することもあります。

節水便器ですが、用をたしたら一度流し、使用後にもう一度流すと効果的です。

ちなみに、女性は<小>でも紙を使用するため、<大>洗浄扱いです。」

 

三澤ふ 「2回流すことになると節水とはいいにくくなりそうですね。」

 

清水さん 「そうですよね。それと、設計士さんへのアドバイスですが、節水トイレの場合は、設計の際に最上流に浴槽がくるような設計が大変好ましいのです。節水タイプでも、詰まりにくくなりますね。」

 

三澤ふ 「そんなこと考えていなかったな~。」

 

清水さん 「それと、ネオレストなどタンクレスや一体型便器は、外見はとてもシンプルでスマートですが、故障した場合通常10年間部品供給はしていますが、それから先はない場合がでてきます。

ことによると、タンクレスなど大変高価なものを10年足らずで取り替える可能性があるので、本来のようにタンク・便器・便座の三点セットでトイレ構成すると、故障は便座だけとなり経済的だと思うのですが。」

 

三澤ふ  「確かに、タンクレスはスッキリしていて、今や、便器はタンクレスが当り前になった感はありますね。

コスト比較と、機能について、住まい手さんに整理して説明できるようにした方が良いですね。」

 

タンクレストイレ:TOTO/CES9897【定価】379000円
          【某社見積もり額】272880円

 

タンク、便器、便座の3点セット。便座を木製のものにしたいという希望があり、この形になった。
清水さん 「それと、設計士さんにお願いしたいことがあるんですが。」

 

三澤ふ 「えっ、なんでも言ってください。」

 

清水さん 「設計士さんに、トイレ内の配管をした後で、追加工事で、トイレ内に手洗器設置を依頼されることがよくあります。

施工が簡単そうに見えますが、床下でトイレ配管より狭い場所での切り回し、なおかつ、トイレを排水すると手洗器の封水を引っ張り、破れる可能性が高くなるんです。

手洗器が必要な場合は土間逃げ配管前に決定をしていただきたいですね。」

 

三澤ふ 「わかりました。気をつけます。というか、私はいつもトイレには手洗器がある設計なので、後から設計変更はあり得ないので・・・」

 

清水さん 「それとトイレの掃除のことですが・・・・」

 

三澤ふ  「あ。トイレの掃除については、次号のテーマなので、今回はここまでということで。」

 

◆次回は、トイレの掃除がテーマです。設備屋さんの「掃除についてのご意見」を聞いてみます。