投稿日:2019年03月08日

住宅医リレーコラム2019年2月


NPO法人WOOD AC
スタジオすぅぷ一級建築士事務所 
塩田 佳子

 平成30年の建築基準法の法改正について、改めて確認する機会がありました。「耐火建築物とすべき木造建築物の制限の見直し」を読んでいると、同ページには「戸建住宅等の福祉施設等への用途変更に伴う制限の合理化」の法案概要。既存住宅のストックを活用促進するために設けられた法案で、既にご存知と思いますが少し紹介します。
 空き家問題に対し、戸建て住宅から特殊建築物への変更の際に、建築確認手続きを不要とする対象面積が拡大されました。従前の規制は、変更後の用途の床面積100㎡以下の場合は不要でしたが、今回、200㎡以下まで拡大されます。現状、戸建て住宅ストック約2,800万戸のうち、100㎡未満は3割ですが200㎡未満に拡大するとなんと9割という面積分布とのこと。基準への適合はもちろん必要ですが、確認申請という1つのハードルを下げることにより、用途変更に対する自由度があがり物件数も増える、とのことです。
 
 私が住む美濃市には「うだつの上がる町並み」があります。現在、町並み内で、一般社団法人インクの中島さんが関わった邸宅・倉庫を宿泊施設・店舗の用途変更を行う改修工事が行われ、来年度オープンの予定です。

 町並み内は実は空き家が多く、町中でもこういった用途変更がこれから徐々に増加していくと推測されます。法改正がきっかけ、というわけではないと思いますが、自分の家の隣に、民泊、福祉施設、子育て施設等へ用途変更された建物が生まれることもあるでしょう。

「改修」をきっかけに町は活性化され、かつ、住むことがメインだった場所も様子が変わっていく可能性もあります。この法改正をきっかけに、住宅医は住宅をなおすことに加えて、地域とのかかわりを考えていく必要性が増したと感じています。

投稿日:2019年02月11日

住宅医リレーコラム2019年2月 


WOODAC 河本和義

昨年に引き続き、耐震補強に使える新工法のご紹介をさせて頂きます。

私どもWOODACでは、岐阜で、NPOとして、国産材・地域材利用促進を目的に活動してきております。そのなかで、県産材利用拡大を目的とした工法開発のお手伝いをさせて頂いておりますが、そのなかの一つで、岐阜県木連が工法開発を行っているヒノキ製材を用いた木造ラーメン工法をご紹介させて頂きます。

この工法は、国や県の補助金を利用して開発しているもので、岐阜県産ヒノキの特長である美観を生かしアラワシとし、優れた品質を生かすことにより、岐阜県産ヒノキの付加価値を高めることを目的としています。流通材(木材、金物)の利用、既存プレカットシステムの利用などにより、鉄骨造に負けないコスト性を目指しています。

加工したベースプレートとボルトと構造用ビスを用いた工法(図1、写真1)で、6mスパンで、片筋かい45×90壁長2mと同等の構造性能を持ちます(図2、写真2)。高強度のラーメンではありませんが、ボルトと構造用ビスを用いることにより、初期の剛性(中地震時)、高い変形性能(大地震時)を実現しています。

この工法は、新築を対象に開発をはじめ、ハウスプラスの構造評価を得ていますが、これを耐震改修に利用しようと、昨年、既存軸組の内側に組み込む計画をしましたが、新築を想定している工法のため実現には至りませんでした。今後は、耐震補強(既存軸組の内側に組み込む)に利用できるタイプの開発を目指していきますが、現状でも、例えば、外壁面に既存軸組に沿わせる形で利用することにより、開口をつぶすことのなく耐震補強を行うことができるなどの利用方法(アラワシにできないですが。。。)もありますので、耐震補強のひとつのレパートリーに加えて頂ければと思います。

投稿日:2019年01月07日

代表理事より新年の挨拶


代表理事  山辺豊彦(山辺構造設計事務所)

明けましておめでとうございます。
新しい年を迎え、全国の住宅医協会会員ならびに協力関係者の皆様に、謹んでご挨拶を申し上げます。

昨年は豪雨災害、台風、豪雪被害、噴火災害、地震被害等、自然災害の多い一年でした。東京都でも首都直下地震への備えとして、「いつか来るかもしれない」のではなく「必ずくる」と考え、喫緊の課題として建物の耐震化キャンペーンを開催しました。その一環として、昨年12月14日、都庁内で「木造住宅の耐震改修」をテーマに講演を行いました。この講演後に「耐震化に係る金融知識(補助制度)の説明」があり、その後共催区市の助成制度の詳細説明がブース形式で行われました。

当事務所でも昭和初期、日野市に建設された旧蚕糸試験場日野桑園の耐震改修に協力しました。この建物は、蚕室を良好な環境に保つため1階を1m位の高床とし、床下には飼育室の中央部に煉瓦積みで火炉を設置し、周囲に換気孔を設けています。当時の建物で1階が鉄筋コンクリート造、2階が木造とした立面混構造の事例は珍しい建物です。2階の木造は、洋小屋のキングポストトラスで、比較的細い部材で広い空間を覆う架構形式となっています。2階床スラブには開口部を設け、暖気の流れを2階に導き、さらに越屋根から外に流します。このシステムは、大正期に改良普及した方法で、当時は「古くて新しい技術」でした。この建物を耐震改修し活用しながら後世に残すことは、日野市の産業史を物語る面からも、歴史文化を伝え続ける面からも貴重な役割を果たすことと期待しています。

住宅医協会は、今年も住宅医スクールを各地で開催します。建築に関わる会員ならびにスクール生の皆さんには、講義だけではなく実測調査や検定会などにも参加され、技術の研鑽を積んで信頼される住宅医として活躍してほしいと願っています。