投稿日:2017年07月10日

住宅医コラム 意見交換2017-80


「トイレコラム」
トイレの掃除へのアドバイス~ 設備屋さんから話を聞く第2弾
三澤文子(Ms建築設計事務所)

 

先月に続き、給排水衛生工事の実務者である住宅医スクール講師の清水基之さんの
「トイレ関して」のご意見です。

今週は、「トイレ掃除へのアドバイス」についてうかがいます。

 

清水さん 「それとトイレの掃除のことですが・・・・小便器でも洋式便器でも男性が立って用を足すと、必ず便器の外に尿が飛び散っています。

床の外、壁にも飛び跳ねが見受けられます。壁紙が黄ばんでいる住宅もあります。

メンテナンスなどで、トイレのお客様のトイレの中に入ることが多いので良くわかります。

まず、こぼれた尿は便器を伝わり床に垂れます。

床材が合板の場合は、尿のアンモニアが床材に染み込み悪臭を放つようになります。

こまめに掃除を行えばよろしいのですが、基本は座って用を足されるといいですね。」

 

三澤ふ  「洋便器の場合は、男性には座って用を足していただく。

という結論はこのコラム4月号の『トイレの仕上げ』でのトピックでもありましたが、立って用を足す小便器でも、便器の外に尿が飛び散るということでしょうか?」

洋便器の正面に小便器があるこの住宅では、奥様から「正面に小便器が見えるのは嫌だ。」との意見がでた。

施工途中でのご意見だったのでプラン変更も出来ず、「小さなタピストリーで区切ればそこに目が行き、気にならなくなるのでは?」という提案に納得いただき、ひと安心した事例。

 

清水さん 「小便器も使い方によります。『一歩前に』とあるように、便器面に12cm以上離さずに用を足していただければ、尿ハネは起こりにくいです。これら、実験で確かめられているようです。」

 

三澤ふ  「トイレ掃除の話題になった時は、住まい手さんに、こんなアドバイスも必要ですね。」

 

清水さん「それと、便器内の掃除のことについて一言。

最近掃除が簡単なトイレも出てきていますが、メンテナンスフリーではなく適度に掃除が必要です。

掃除なしでは水垢は簡単に付着します。

便器が陶器の場合は、掃除はたわしなど硬いもので擦らないほうがいいですね。

表面のコーティングがはがれ汚れが付きやすくなります。

また、便器が樹脂(パナソニック)の場合ですが、擦れば樹脂自体に傷がつくので、その傷に汚れが付着しやすくなります。」

便器はアラウーノ (パナソニック)樹脂製便器。民家改修での2階トイレなので、大きな小屋梁がトイレ内に見えて面白い。手洗いは信楽焼でキレイな青が清潔感を感じさせる。

 

三澤ふ 「樹脂製のものは、傷つくのは、わかりますが、陶器製もコーティングがはがれて、汚れが付きにくくなるとは思いませんでした。

パナソニックのアラウーノは価格も安いことから良く勧めますが、『やはり陶器製は良い。』という方もおおいです。

アラウーノなので、自動掃除付きですか?などと言う質問には『それは期待してはダメです。』としっかり言っておりますので安心してください。」

 

まだまだ質問は続きましたが、つづきは、住宅医スクールの講義の中で質問させて頂きます。

 

ちなみに、東京スクールは10月12日(木)、大阪スクールは11月25日(土)、富士スクールは11月20日(水)に、「設備の劣化診断と対策」の講義が予定されています。

 

投稿日:2017年06月08日

住宅医コラム 意見交換2017-79


「トイレコラム」
トイレの設備 ~ 設備屋さんから話を聞く
三澤文子(Ms建築設計事務所)

 

住宅医スクールの講義に「設備の劣化診断と対策」があります。設備に関する講義は他にないので、大変貴重だと評判が良いのですが、それは、給排水衛生工事の実務者である講師の清水基之さんの、わかりやすい説明が、人気の秘密なのではないかと思っています。

そこで今回、「トイレ」に絞って、設備屋さんからの「思うところ。」をうかがってみました。

これから先は、対話形式で続けます。

 

清水さん「トイレに関して、ですね。わかりました。最近の便器は節水トイレが多くなりました。

そのため排水のつまりでメンテナンスに出動することが増えてきています。

配管の勾配・管径は、トイレの水量が13リットル程度流れることを想定して設計されています。

近年各メーカーがこぞって節水便器をつくり始め、管径と水量のバランスが取り難くなり、<つまり>が多く発生しているというわけです。

水量が少ないため管内に汚物が滞留することもあります。

節水便器ですが、用をたしたら一度流し、使用後にもう一度流すと効果的です。

ちなみに、女性は<小>でも紙を使用するため、<大>洗浄扱いです。」

 

三澤ふ 「2回流すことになると節水とはいいにくくなりそうですね。」

 

清水さん 「そうですよね。それと、設計士さんへのアドバイスですが、節水トイレの場合は、設計の際に最上流に浴槽がくるような設計が大変好ましいのです。節水タイプでも、詰まりにくくなりますね。」

 

三澤ふ 「そんなこと考えていなかったな~。」

 

清水さん 「それと、ネオレストなどタンクレスや一体型便器は、外見はとてもシンプルでスマートですが、故障した場合通常10年間部品供給はしていますが、それから先はない場合がでてきます。

ことによると、タンクレスなど大変高価なものを10年足らずで取り替える可能性があるので、本来のようにタンク・便器・便座の三点セットでトイレ構成すると、故障は便座だけとなり経済的だと思うのですが。」

 

三澤ふ  「確かに、タンクレスはスッキリしていて、今や、便器はタンクレスが当り前になった感はありますね。

コスト比較と、機能について、住まい手さんに整理して説明できるようにした方が良いですね。」

 

タンクレストイレ:TOTO/CES9897【定価】379000円
          【某社見積もり額】272880円

 

タンク、便器、便座の3点セット。便座を木製のものにしたいという希望があり、この形になった。
清水さん 「それと、設計士さんにお願いしたいことがあるんですが。」

 

三澤ふ 「えっ、なんでも言ってください。」

 

清水さん 「設計士さんに、トイレ内の配管をした後で、追加工事で、トイレ内に手洗器設置を依頼されることがよくあります。

施工が簡単そうに見えますが、床下でトイレ配管より狭い場所での切り回し、なおかつ、トイレを排水すると手洗器の封水を引っ張り、破れる可能性が高くなるんです。

手洗器が必要な場合は土間逃げ配管前に決定をしていただきたいですね。」

 

三澤ふ 「わかりました。気をつけます。というか、私はいつもトイレには手洗器がある設計なので、後から設計変更はあり得ないので・・・」

 

清水さん 「それとトイレの掃除のことですが・・・・」

 

三澤ふ  「あ。トイレの掃除については、次号のテーマなので、今回はここまでということで。」

 

◆次回は、トイレの掃除がテーマです。設備屋さんの「掃除についてのご意見」を聞いてみます。

投稿日:2017年04月01日

住宅医コラム 意見交換2017-77


「ためしてガッテン・トイレ事件」ってご存知ですか? 2015年9月2日放映のNHKのTV番組「ためしてガッテン」のタイトルが「家族が涙!トイレ問題大解決スペシャル」。トイレ問題となれば、みないわけにはいきません。さすが、ためしてガッテン。実験をもとにした検証により、洋便器を使って男性が立小便をした際の尿ハネの実態を明らかにしていたのです・・・今年は、健康にも直結する「トイレ」に注目して、住宅設計のポイントを抑えていきたいと思います。今月の「トイレコラム」は尿ハネ対策の仕上げ事例のご紹介から。

 

「トイレコラム」

 

トイレの仕上げ ~ 実用面と豊かさと。

 

三澤文子(MSD)

 

「ためしてガッテン・トイレ事件」ってご存知ですか? 2015年9月2日放映のNHKのTV番組「ためしてガッテン」のタイトルが「家族が涙!トイレ問題大解決スペシャル」。トイレ問題となれば、みないわけにはいきません。さすが、ためしてガッテン。実験をもとにした検証により、洋便器を使って男性が立小便をした際の尿ハネの実態を明らかにしていたのです。
さて、その数日後、設計の打合せの際、住まい手さんから「ためしてガッテンをみたんですが、尿ハネが凄くてビックリ。小便器をつけることはできませんか?」とのお話でした。小便器をつけるとなると、それなりの広さが必要なので、プランに影響します。その数日後、他の住宅の設計打合せでは、「うちは座ってしてもらうので、大丈夫。それにしても・・・」と「ためしてガッテン」の話題が続きます。そんなことで、この騒動を「ためしてガッテン・トイレ事件」と私が呼んでいるのです。
トイレの尿ハネについては、それまで住まい手さんとの打ち合わせで、それほど話題にならなかったものの、便器周りの仕上げには、それなりの配慮をしてきました。私の住宅設計において、トイレの壁の仕上げは、木材と珪藻土の2種類のみですが、便器周りは、必ず板張りの仕上げにしています。ただこの番組が話題になって尿ハネを意識してから、便器周りのみ台所の壁に使うキッチンパネルを使ってみました。トイレの幅が狭い(内法790㎜)場合です。

 

 腰は杉板張り。便器の周りのみチリ無しでキッチンパネル貼。

 

白いキッチンパネルは、艶消しを使えば、嫌み無く、木材や珪藻土にも馴染むと考えてのことです。また、機能的に水拭き掃除が容易だということが一番の理由ですが。
また、床は他の部屋と同じ板張りですが、便器周りに大判のタイルを貼ることがよくあります。実際、このような狭い範囲で効果はどうなのか?そもそも床だけでいいのか?と考えてしまいます。

 

 

拭きやすい材料を使っても、床や壁の拭き掃除が必要。ということになりますので、掃除を頻繁にするのか、しないのかという問題になってきます。掃除をマメにする家では、板張りでもいい味に変化していくだろうし、しない家では、仕上げで配慮するほか、小便器をつけるか、男性にも座って使用して頂くことをお願いたいものです。

さて、仕上げについては機能的なことも大切ですが、その他にも大切な要素があります。というのは、トイレは一人きりになる大切な空間。家族が使うのは基本ですが、お客様も使います。

トイレというと、ある大工さんの発言が忘れられません。「リビングなどでは、家族と話をしたりテレビをみたり、日々暮らしていて、部屋の隅々をじっと見る機会は意外に少ないものだが、トイレでは、じっと隅を見たりする。だからトイレの仕上げや造作は気合をいれて入念につくるようにしているよ。」
全く同感です。私も、どこに行ってもトイレ内の観察をしてしまいますし、良いトイレの店舗や旅館は評価が高くなるものです。

そこで、お仕事柄、来客が多いお宅のメイントイレの壁に、漆塗りの板を張りました。

土間サロンにある玄関。その近くにあるメイントイレ。天井は大きくアールになっていて、柿渋紙貼り
床は桧板張り。便器下には大判のタイル。

 

 

漆は殺菌効果があると言われています。具体的にそのような利点があるのか今のところ追求していませんが、漆に殺菌効果があると聞いただけで、何か清らかな気がするものです。床は桧板ですが、便器の下には大判のタイルを貼っています。

 

 

天井は柿渋紙貼です。私にとって、この柿渋紙がトイレの天井仕上げで定番になっているのは、経年変化とともに、より一層色が濃くなり、深みが増すといった魅力ある材料だからです。
じっとしている空間こそ、他にはない仕上げ材料を。ということで、機能面ではあまり追及されない天井に、いち押しの素材を使っているというわけです。

そもそも、柿渋紙を、最初に使ったのが、我が家のトイレ。すでに25年ほど前になりますが、その時に貼った柿渋紙が、年を経ることに良い味わいになっていて、訪れる人たちに自慢しています。

 

トイレの巾(内法)955㎜。床は厚30の桧板。良い色に経年変化している。

 

トイレでは、一人でじっと眺めているせいで、素材の特性や、おさまりのことなど、気づきが多いというわけです。