投稿日:2018年04月06日

事例報告(改修事例)2018-78


■改修事例報告
熊本県菊池市 築60年の長期優良住宅化リフォーム

■改修概要
施工:新産住拓株式会社
設計者:松野 洋二郎
築年数:昭和28年 築60年(調査時)
主用途: 専用住宅
構造・階数: 木造2階建て
敷地面積: 920.99㎡
建築面積: 164.85㎡
延床面積: 207.19㎡ (1階164.85㎡2階42.34㎡)
現地調査:2014年12月
着  工:2015年9月
竣  工:2015年12月 (工事期間4か月)
改修内容:耐震性能向上、断熱性能向上、間取り変更、設備機器の更新など
補助金 :長期優良住宅化リフォーム推進事業を使用

■現況状況
基礎 :玉石基礎+延べ石基礎+一部土間コン
外壁 :真壁造り 土壁厚約70~80mm+漆喰壁
断熱材:床、壁、天井 全て無断熱
内壁 :和室  土壁+聚楽塗
その他 :大壁 胴縁+プリント合板4mm
床材 :1階「21mm厚板仕上 火打なし 根太転ばし@333」
2階 :根太天井+フローリング張り 火打なし
接合部:接合部Ⅳ:3kN未満(ほぞ差し・釘)

■ご相談から竣工まで
初めてご相談を受けたときは築60年になった古い建物が本当に良い建物になるのか?
壊して新築したほうが良いのではないか?ということでリフォームするか非常に心配され悩まれておりました。
物件を調査した結果、一部白蟻被害はありましたが部材の取り換えすることで十分良い建物になると判断して改修工事を進めていきました。
長期優良住宅化リフォーム事業の補助金が使えましたので、省エネ性能向上、断熱改修や耐震改修につながるように提案をしていきました。

■改修希望内容

古い材など生かした間取り
収納が多くて明るい部屋
古くなった水回り設備の一新
断熱性能を上げたい
家の中の段差を無くしたい

 

改修前 1階平面図

 

改修前 2階平面図

 

改修後 1階平面図

 

改修後 2階平面図

 

 

 

■劣化対策

ユニットバス工事、床下白蟻防蟻処理、床下一部土間コンを打ちました。
外壁は真壁仕様だったので柱、梁など風雨による劣化が見られたので、
構造躯体を保護する意味も兼ねてバス板モルタルの大壁仕様(付け柱@一間)としました。

■耐震改修提案

耐震性能:構造評点0.43から1.0へ
1階の東側は既存を残す模様替えであったため西側壁の強度を上げすぎると配置バランスが悪くなり剛芯がずれていきました。
剛芯がずれてしまうと低減係数で減点されてしまうので耐力の小さい壁をバランスよく配置していくようにしました。
耐震構造評点も1.0をやっとクリアする程度であったため今後は1.5以上を目標値として提案していきます。

耐震診断一般診断

 

壁補強計画

 

■断熱改修対策

床・壁・天井と無断熱状態でした。

改修前Q値7.43 UA値 2.53
改修後Q値3.67 UA値 1.24(改修していない箇所含む)

・床は充填断熱:押出法ポリスチレフォーム保温板50㎜
・外壁は既存土壁+グラスウール10K100mm。寒さ対策をとるため一部壁面は
押出法ポリスチレフォーム保温板50㎜を内壁に貼って断熱対策をとりました。
・天井はグラスウール10k200mm敷き込み。
・アルミサッシはアルミ樹脂複合サッシ+LOWEガラスとしました。
・断熱対策は未改修部もあるため、現行基準の断熱性能には至りませんでした。
改修部と未改修部との断熱をどう考えていったが良いのか?壁が土壁の断熱の取り方をどうしたら?
など今後の断熱改修の提案課題が見えたところとなりました。

■省エネ、バリアフリー・火災計画

省エネ効率を高めるため給湯器は高効率のガス給湯器に取替。水栓は節水型、
照明はすべてLEDにして省エネ設備を積極的に取り入れました。
バリアフリー計画は家の中の段差を無くしました。昔の土間部分は梁が低い位置にきているため
間取りの計画も梁の高さを考慮しながら邪魔にならないように計画しました。
居室の出入口の幅は75センチメートル以上、浴室の出入口の幅は60センチメートル以上を確保しました。
廊下幅は780mm以上を確保。玄関上がり口、トイレ、浴室・階段には手すりを設置しました。
火災時の安全対策として2方向避難できるような間取り計画しました。
火災発生時の避難を容易にするための対策として、早く火災を察知して迅速に避難を開始するために重要な連動式の
「火災報知器」を各居室・寝室・台所・階段上部に設置しました。それに加えて消火器を設置しました。
軒裏の防火性能確保は化粧垂木のままでしたので軒裏部のみ防火性能の確保はできませんでした。

 

■統括

ご相談から現地調査プラン提案設計見積もり契約詳細打ち合わせ工事管理完了検査引き渡しまで担当させていただきました。
改修工事相談から工事完了引き渡しまで約1年がかりでした。
祖父の代から受け継がれた家を守っていきたい。自分の代で無くしたくない。と言った家主の想いを形にすることができ大変喜んでいただけました。
段差も無くなった。家の使い勝手も大変よくなった、冬はとても暖かくなった。暖房一つで十分になったと言っていただけました。
そして、お引渡しから約4か月後、熊本県上益城郡益城町を震源とした熊本地震が起こりました。
2016年4月14日(前震)16日(本震)2度に渡る震度7、過去に例のない大地震。この建物も最大震度6強の大地震に被災しました。
ただ幸いにも被害はほぼゼロの状態でした。耐震改修工事まで意識して提案計画していなかったらもっと被害が多く出ていた可能性もありました。
改めて耐震設計の重要性と耐震工事を担う建築士の必要性、それに耐震工事を担う責任感を感じました。
その年の2016年、住宅医スクールの講習を受講いたしました。その時初めて住宅医と言う言葉を聞きました。
住宅医スクールは治す力を持った設計者を育成するところ、改修のスペシャリストを育成するところです。
住宅医スクールでは劣化対策、耐震対策、断熱対策、省エネ対策、バリアフリー対策、火災の安全性や予防対策といった様々な角度から
建物の性能を数値化して点数をつけ改修設計をしていく手法を学ぶことができました。
改修工事をすると面白さや難しさを常に感じますが、住宅医スクールで学んだことを実践できるように、今後も改修工事に携わってまいります。

熊本県 新産住拓株式会社 リフォーム事業部 松野 洋二郎

投稿日:2018年02月06日

事例報告(改修事例)2018-77


■改修事例報告
熊本県「2016熊本地震被災の家」 最小限の改修工事への挑戦

■改修概要
設計者:有限会社井上工業 井上恭子
施工:有限会社井上工業
報告:有限会社井上工業 井上恭子
所在地:熊本県上益城郡御船町 (地震係数:0.9 /軟弱地盤割増:1.0)
地域:都市計画区域内 指定なし
主用途:一戸建ての専用住宅
築年数:昭和55年(築37年)
規模:在来軸組 木造2階建て
敷地面積:432.88㎡
建築面積:101.85㎡
延床面積:132.48㎡ (1階 101.85㎡ ・ 2階 30.63㎡)
着工:2016年11月
竣工:2016年12月
(工事期間 1ヶ月)
家族構成:世帯主(71歳)おひとり暮らし
改修内容:①地震で被災した家を「住める」家に戻す
②耐震性能と劣化対策を講じる
③断熱性能向上

■改修の経緯と目標到達点
目標到達点 「現状の問題点を把握した上で、住める家に戻し可能な限りの耐震と断熱改修を施す」
1.2016年4月の熊本地震、震源地から数キロのこちらのご自宅は甚大な被害を受けられました。


2.ご自宅が「大規模半壊(罹災証明書)」の判定を受けられ、当時は「2016年12月までの被災家屋修理には、
市区町村の応急修理補助金が支給される」とのことで、お施主様から大至急の工事依頼を受けたのが2016年11月でした。
(実際は後に応急修理補助金も期間延長を繰り返しましたが、当時は町から2016年12月中の完工要請がありました)
(↓最初に伺った時のご自宅の様子 ボランティアにより外壁と玄関の崩落部にシートがかけてありました)

3.ご高齢のおひとり住まいで、限られた時間と予算(応急修理補助金を利用し手出し250万円のご要望)の中
生前ご主人様が建てた思い出の家を 壊さず・変えず・住み続けたい という3点がお施主様のご希望でした。

4.ご予算と工期から、改修部分は被害の甚大であった下記の青色部分に絞り、工事を行うことになりました。

1階平面図

上部構造評点(一般診断法)

偏心率X 0.50 偏心率Y 0.12

評点X  0.17

評点Y  0.55

2階平面図

上部構造評点(一般診断法)

偏心率X 0.01  偏心率Y 0.00

評点X  0.68

評点Y  0.75

 

■調査状況と改修前の写真
地震の被害が大きかったことから、現況調査の上では否が応でも被災部の損傷ばかりが目に付いてしまいました。
基本的には非破壊の調査としましたが、経年劣化と下記の点が見受けられました。
・地震により剥落した内外壁から、筋かいの位置や金物の確認・床下の確認が出来る箇所があり。
・既存図面は一応存在したが、図面上と実際に露出している筋かいとでは向きが違うものがあった。
・配管の損傷、雨漏り、確認できる蟻害はなし。
・建物の損傷に比べて基礎は健全であり、地盤は液状化も見受けられなかったのが幸いであると感じた。
・耐震診断(一般診断)上部構造評点の最小値0.17(1階X方向)

 

 

 

・小屋裏の状況(サーモカメラでも撮影) 雨漏り、雨染みなし 無断熱

 

基礎    :無筋コンクリート布基礎(軽度なひび割れあり)

外壁    :建築当初 「木ずりモルタル塗り+リシン吹付」

→ 8年前の改修時サイディングを既存外壁の上から張付けし塗装

通気層なし

断熱材   :なし

内壁     :和室    「真壁 ラスボード+聚楽塗」

その他   「大壁 胴縁+化粧ベニヤ4mm」

一部     「大壁 胴縁+石膏ボード9.5mm」

床材    :1階 「12mm荒板 火打なし 根太転ばし@303」

2階 「12mm合板 火打なし 根太転ばし@303」

接合部  :耐震診断においてⅣ(ほぞ差し・釘)

・破断した筋かいと崩落した壁(家の南東出隅部)

 

 

・土台から抜けた上、破断している柱(家の東面 玄関横和室)

 

 

 

・釘が浮き、柱から離れてしまった筋かい(家の南側)

 

■熊本地震と地形の情報
こちらのご自宅は、
・地形区分はローム層で標高30mほど
・地盤増幅率(Vs=400~地表)は推定で1.37とされる(J-SHIS mapより引用)
・2016年中に於いて最寄りの観測点(御船町御船)では
「震度6弱×1回」「震度5強×2回」「震度4×10回」「震度3×33回」震度2以下略 を記録

■改修計画(改修部床面積 37.26㎡)
・1階と2階の柱・壁の直下率が悪い部分を中心に、顕著に地震の被害が大きく出ている
→ 直下率を上げるため2階柱下と、梁下にも柱を増設。2階出隅の下に柱がなかった為新設。

・開口部の大きい南面の損傷が激しい
→ 掃き出し窓を小さく(2間を1間に)し、柱・耐力壁を新設。

・筋かいの破断、金物の不備が多くみられる
→ 今回触る外壁には構造用合板による面材耐力壁を使用。場所によっては筋かいシングルと併用。
引抜力が上がりすぎないよう配慮。引抜耐力に応じた金物を設置。

・外観も内観も、極力変えることなく改修してほしい
→ 間取りは変えず、直下率の妨げになっていた付け書院のみ無くし、
広縁と和室の境にある2間の開口部(障子)を1間にし、1間分は雑壁として耐力を取ることとした。

・無断熱でALLシングルガラスの為、開口部の大きい和室は寒いとの事(そのため冬場は基本的に和室を利用していない)
→ 結露計算の上、防湿フィルムとグラスウールを和室に施工。改修部のガラスは半樹脂ペアに変更。

 

 

■バリアフリー
今回は大規模な改修に至らず、通路幅や室内の開口部などで改善が必要な部位はまだ多くあります。
(住まい手が高齢者であるため、引戸の開閉がスムーズになるよう最低限の配慮と今回解消できる段差の解消を行ったのみ)

↓(一部例)敷居にレール埋め込み  開閉しづらい建具に戸車を設置

 

■断熱
UA値は元が2.34、今回は部分的な断熱だったために改修後も2.20と僅かな向上に留まりました。
(熱損失の大部分が天井と開口部)
施工完了の2016年12月に、断熱施工した現在非暖房室の和室表面温度は玄関外壁部と比べて5.5℃高く、縁側の壁面は外気温より10℃以上高くなっていました。

 

■火災時の安全性・省エネルギー性
今回はこれといった対策を講じるに至っておりません。
「工事が終わったら和室を寝室にしようかな」とお施主様が仰っていましたので、
和室に火災報知器をプレゼント致しました。
火災時の安全性については防火地域等でなかったことと、8年前にキッチンリフォームをされていたことから、
性能診断結果で得点が他より高く出ています。

■性能診断結果と改修後の写真
250万円という譲れない予算、震災後の職人不足の中の1ヶ月の工期、という高い壁を前にした上で、
「原状復帰+α」というお施主様と当初の目標に対し当時のベストは尽くしたと思っております。
お施主様には、今回の工事を大変に喜んでいただけました。
「見た目が変わらなかったのが何より嬉しい。色や雰囲気も変わってしまうかと心配した。
和室は以前より寒くなくなったし、丈夫になったのなら、今度からこの部屋で主人の位牌と寝る事にするわ」と、
にこやかにご冗談も頂きました。
今回のスタートが元々「性能向上を第一に」した改修工事ではなかった為、出来る提案は少なかったものの、その中で
「如何にお施主様の要望と性能向上を両立し 出来る限りを尽くすかを考える」学びの多い改修工事になりました。

 

左:BEFORE 右:AFTER

 

■総括
今回の事例は、正に住宅医スクールを受講している最中 住宅医を取得する前の改修工事であったため、
振り返れば下記のような反省点もありつつも、当時の精一杯(工期・費用も含め)が詰まった設計・施工となりました。

・・・上部構造評点が最小値で0.17→0.61への向上は図れたものの、せめて1.0以上に出来たなら
・・・もう少し熱境界を考慮するだけ工事の余裕があれば、もっと断熱性能の向上が図れていたかも
・・・今思えば(当時住宅医検定会で三澤先生にご指摘いただいたのですが)雑壁を天井まで伸ばした方が良かった

これからも、住宅医で学ばせて頂いた数多くの(本当に多くの、けれどもまだ知るべきことも多くて終わりのない)
知識を反芻したり、新たに学んだり、全国の住宅医の方々の素晴らしい事例を参考にしながら、
「この家を残したい」「建て替えではない方法でより良く住みたい」と言ったニーズへの最善を尽くしていく所存です。

そうして、「本当に質の良い中古住宅」と「本当に質の良い新築住宅」が仲良く共存できる世の中であるように祈りつつ、
今後とも熊本でそんな家に携わっていきたいと願っております。

(熊本県 有限会社井上工業) 井上恭子

投稿日:2018年01月09日

事例報告(改修事例)2018-76


広島県「まゆの蔵」改修事例報告
設計者:株式会社エヌテック/谷口護、広島工業大学/天満類子
報告者:株式会社エヌテック/谷口護
所在地:広島県広島市安佐南区西原
主用途:改修前/納屋、改修後/住宅(夫婦+子一人)
築年数:昭和2年建築、改修時で築89年
規 模:木造2階建て(地下空間有り)
建築面積:80.59㎡(24.38坪)
延床面積:161.18㎡(48.76坪)
着工:2015年6月
竣工:2015年12月(工事期間7ヶ月)
省エネ住宅ポイント

大正初期に創業した天満製糸工場のまゆの保管庫として昭和2年に建築された蔵を住宅へ改修した事例報告です。
現在は製糸工場も解体され、この蔵と住居棟が1棟だけ残っており、地域の歴史的にも大変重要な建物であると考え、
「記憶の継承」をコンセプトにしたリノベーションを意識し設計・工事を行いました。

 

 

改修直前の蔵の外観は、昭和40年代に改修された状態で、土壁からモルタル外壁に変更され、
1間幅の引き違い窓になっていました。建物内部は、蔵の隣に建つ主屋の改修工事が平成16年に行われた際、
仮住まいとして生活できるよう台所の設置と部屋に間仕切る工事が行われていました。
2階は倉庫として利用したり、洗濯を干したりする場所として利用されており、この蔵の特徴であるトラスが連続した姿は迫力がありました。
ただ、無断熱のため夏は大変暑く、冬は大変寒い場所でした。

 

 

改修工事にあたり、まず玄関と浴室は主屋と共有する計画としています。
蔵の南側に主屋があるため、南からの日射取得が難しい状況です。
そのため、1,2階ともにコアのあるプランとすることで、南以外の方位から採光と通風を取得するようにしました。
コアには、便所・洗面・洗濯脱衣室・シャワー室・収納の機能を集約し、
通り抜けできる動線も確保することで使い勝手の良い空間となりました。

「記憶の継承」のため、モルタル外壁はすべて撤去し、建設当時に近づけるために左官壁としました。
外張り断熱を採用し、壁に厚みをつけることで窓周りの表情を工夫しています。
窓のサイズも半間ピッチの通し柱内に納まるよう入れ替えることで蔵の外観を整えています。
建物内部は、松の梁・トラス・床下地板を意匠として現すことにし、内壁のラワン板も出来るだけ残すようにしました。

 

 

 

【劣化対策】
壁を解体すると、一部の梁に雨漏りによる腐朽が確認されたので、新しい梁で架け替え作業を行いました。
また、屋根垂木の先端や破風はモルタル塗りのため雨水の浸入による腐朽も見つかり、
屋根垂木の一部交換や補強、ひねり金物の設置などの対策も行いました。
今回の改修工事は、住宅医スクールの受講前だったので、基礎の強度試験などが未調査となり、
今後の課題として追加調査を実施したいと思います。ただ、基礎に関してはレベルのばらつきが少なく、
土台の防蟻処理も行われており、地下空間として利用している点で白蟻による害も見当たりませんでした。

 

 

【耐震改修】
昭和40年代の改修工事の際に1間幅の引き違い窓に刷新されましたが、
その際に本来半間ピッチで建っていた通し柱を切断する工事が行われていたので、
今回の改修工事では元の半間ピッチの通し柱に戻す作業を行いました。
外壁と2階の床には構造用合板を張って耐震性を高めました。

 

 

 

【断熱改修】
床・壁・天井と無断熱状態だったので、床は地下空間の高さを利用しセルロースファイバー60kg/m3を200mm、
外壁は外張り断熱部はフェノバボードを合計90㎜、主屋との接続部は高性能グラスウール14kgを105mm、
屋根はセルロースファイバーを250mm吹き込みました。
また、窓はエクセルシャノンの樹脂サッシでトリプルガラスを採用しています。UA値は0.3W/㎡K、ηA値は1.1%となりました。

 

【その他】
まゆの保管庫として利用されなくなった後、倉庫として蔵を貸していたこともあったので、
梁がたわみ2階の床の不陸が大きくなっていました。そのため、コア空間の壁の一部には柱を追加し、
可能な範囲で不陸調整を行いました。また、意匠上、梁は全て現しとしたかったので、
2階床の不陸調整と配線・配管スペース確保を目的に、フリーフロアを採用して納まりを調整しています。

 

【総括】
今回の改修工事は自宅ということもあり、特に断熱性能と意匠とのバランスに拘って改修工事を行いました。
住宅医スクールの受講後の計画となっていれば、他の項目にももっと目を向けていたと思いますが、
その点は今後の課題としたいと思います。改修工事後に地域の方から、温かい声をいただくこともあり、
建物を残してよかったと実感しています。また、温熱的なバリアフリーが実現できたので、ストレスなく家中を移動できたり、
空間を利用できる点も大変満足しています。
基礎に関しては、いつでも点検できる状態なので、強度試験なども含めてさらなる改善を図りたいと思います。