投稿日:2018年06月07日

事例報告(改修事例)2018-80


■改修事例報告
熊本県熊本市 築36年 スマートウェルネスリフォーム
■改修概要
施工:新産住拓株式会社
設計者:田中 俊史
築年数:昭和56年 築36年(調査時)
主用途:専用住宅
構造・階数:木造平屋建て
敷地面積:208.57㎡
建築面積:89.8㎡
延床面積:87.99㎡
現地調査:2015年10月
着工:2016年9月
竣工:2017年2月 (工事期間5か月)
改修内容:耐震性向上、断熱性向上、間取変更、設備機器入替、屋根葺き替えなど

■現状状況
基礎:布基礎(無筋)
外壁:モルタル
断熱材:床下 無断熱
壁 ロックウール35㎜
天井 ロックウール35㎜
内壁:ラスボード+聚楽壁
合板
石膏ボード+クロス

床材 合板フローリング12㎜ 火打ち有 根太転ばし@303
接合部:接合部Ⅳ:3kN(ほぞ差し・釘)
サッシ:アルミシングルガラス

■ご相談から竣工まで
ご相談受けた時、中古物件を購入し、新築かりフォームかで迷われていました。
建物は36年間メンテナンスがされていませんでしたが、調査を行い、基礎・軸組共しっかりしていたため
リフォームで十分性能向上ができると判断しました。
スマートウェルネス住宅等推進事業の補助金を使うことができたため、断熱、省エネ等の性能向上を考慮し進めました。
2016年5月に熊本地震発生のため、耐震計画の見直しを行いました。変更点として地震地域係数Zを0.8から1.0へ変更し、上部構造評点を1.5以上を目標としました。
また、着工も4か月延期としました。

現状写真

 

 

改修希望内容
使いやすい間取りへ変更
断熱性、耐震性、省エネ性向上
6畳と4.5畳の和室を作りたい
子供部屋を作りたい
収納を増やしたい
車を3台駐車したい

 

 

改修前平面図

 

改修後平面図

 

 

 

■劣化対策
セメント瓦の劣化に伴い、ルーフィングをゴムアスファルトルーフィングへ取替し、防災陶器瓦へ葺き替え。
湿式浴室をUBへ取替え。
布基礎だったため、土間コンクリートt=60mm打設後、防腐・防蟻工事を行う。
外壁が通気工法ではなかったため通気工法へ変更。
水廻り変更により給水・給湯管入替。

■耐震改修提案
一般診断法で評点1.5以上になるよう耐震補強を行いました。
柱の柱頭柱脚を規定の金物で補強を行った。
既存の耐力壁である筋違も全て入替を行い所定の金物で補強した。
解体時、既存の玄関柱に腐朽が見られたため、柱の取替えを行った。

 

■断熱改修対策

既存のアルミ単板ガラスを複層ガラスへ全て入替を行った。
既存の断熱材を全て外し、床に押出法ポリスチレンフォーム保温版(3種)、壁に高性能グラスウール断熱材16K t85㎜、天井にグラスウール断熱材 10K t200㎜を充填した。

改修前 Q値5.78  UA値 1.61
改修後 Q値2.16  UA値 0.54

 

 

■省エネルギー対策
ガス給湯器から高効率エコキュートへ取り替えた
熱源を電気・ガス・灯油だったが、オール電化とし、家計面でも省エネを図った
湿式浴室から、UB高断熱浴槽へ取り替えた。
太陽光発電設備 5.52kwを設置した
■バリアフリー対策
各所にあった段差を大引きまで撤去し、新たに床組を行い段差解消を行った
浴室に手すりを設置した
玄関を東側から北側へ間取り変更し、駐車場部分のフェンスを撤去を行いました。砂利敷きの駐車場を土間コンクリートとし玄関へのアプローチを容易にした

■火災時の安全性
火災、煙報知器を各居室に設置した
ガスコンロからIHへ変更した
消火器の設置を行った

 

 

■総括
当初2016年5月着工予定でしたが、2016年4月の熊本地震の影響により着工を9月に延期いたしました。
同時期に住宅医スクールの講習を受講し、耐震対策、断熱対策、劣化対策、省エネ対策、バリアフリー対策などの重要性を知りました。
住宅医スクールの講義を受け、本工事の耐震計画、断熱について見直しを行いました。
工事が完成し、お客様の感想として、使いやすい間取りになりました。部屋が明るく、冬はとても暖かくなった。素足で生活しています。大変満足されています。
住宅医スクールでは劣化対策・耐震性・断熱性・省エネルギー性・バリアフリー性・火災時の安全性など数値で建物の性能を確認することができるため、お客様への提案がしやすくなりました。
今後も、住宅医スクールで学んだことを実践し、治す力をもった住宅医として改修工事に携わっていきます。

熊本県 新産住拓株式会社 リフォーム事業部 田中 俊史

投稿日:2018年05月07日

事例報告(改修事例)2018-79


■改修事例報告
熊本県益城町 震災復旧工事
■改修概要
施工:新産住拓株式会社
設計者:蓑崎寛規
築年数:平成9年 築19年(調査時)
主用途: 専用住宅
構造・階数: 木造2階建て
敷地面積: 464.88㎡
建築面積: 135.44㎡
延床面積: 199.97㎡ (1階125.97㎡2階74.00㎡)
現地調査:2016年6月23日
着  工:2016年8月
竣  工:2016年11月 (工事期間3か月)
改修内容:基礎傾斜修正、耐震性能向上、断熱性能向上、設備機器の更新など
補助金 :益城町宅地復旧支援事業
■現況状況
基礎 :鉄筋コンクリートべた基礎
外壁 :サイディング70~80mm+吹付タイル
断熱材:床ポリスチレンフォーム90mm、壁・天井ロックウール75mm
内壁 :石膏ボード12mm+ビニルクロス
床材 :1階 15mm桧フロア仕上+12mm合板捨貼 根太転ばし@303
2階 12mm合板フロア仕上+12mm合板捨貼 根太転ばし@303

■熊本地震 被害状況
2016年4月14日21時26分に前震、4月16日1時25分に本震と、熊本は立て続けに2度という、今までに経験したことのない大地震に見舞われました。
次の日から弊社は全社員と施工パートナー総出で震災対応チームを編成し、被災地へ応急修理に向かいました。
そういった震災対応をを行う中、私たちは益城町の馬水地区へ向かいました。
この馬水地区も震災被害の多い地域で、道路は波打ち、道の両側の家も倒壊して通行できず、通れる道を探しながら何とか辿り着きました。
今回ご紹介する物件は、敷地の土留めブロックが崩壊し、地割れが発生して建物は東側に125mm下がり、設備配管も破損していました。
近隣の建物が多数倒壊するなか、傾きはしたものの自立して立っていたため、応急修理にお伺いしたのを切っ掛けに、
お施主様より復旧のご依頼がありました。

■改修要望
はやく水平に戻して、震災前の生活を送れるようにしたい。
耐震性・断熱性を上げたい。
給排水設備機器を一新したい。
2階の子供部屋を和室から洋室に作り替えたい。

・改修前 1階平面図                                          ・改修後 1階平面図
 

・改修前 2階平面図                                      ・改修後 2階平面図

■床レベル補正
SWD法による地盤調査で地盤深さ15mまで貫入試験を行ったが、N値は6程度までしか出ませんでした。

 

支持層が見つからない事と 、コスト面から土台から上のジャッキアップを採用することといたしました。

目的: 不同沈下の矯正の為、油圧ジャッキにて揚げ家を行い、
木構造部分の安定性を確保する。
仕様: 大引きまたは柱下に油圧ジャッキをセットして建物を揚げる。
使用機械: 5・10・15ton 手動油圧ジャッキ
連動ジャッキ 油圧バルブ
電動ピック 他
ライナー鉄板 1.2mm、2.3mm、4.5mm、9mm

施工手順:
①基礎開口および斫り解体工事:
床下から現状の基礎形状及び土台の継ぎ手及び仕口を把握した上で、
ジャッキセット位置を決定し基礎部分をジャッキが入る最低限ハツリ取る。
②ジャッキセット:
ジャッキを所定位置へ設置して、高さ調整または土台保護のため
土台下へ鉄板を入れる。
③ジャッキアップ:
ジャッキアップ量5mm程度を1サイクルとし、壁の変形等を観察しながら
所定量までジャッキアップを行う。
④受け方:
原則としてジャッキの両側受けとし 1.2~9mm の鉄板や鋼製束を用いて、
土台と基礎の間に叩き込む。
⑤基礎充填:
ジャッキアップに伴い発生した土台と基礎の空隙にモルタルを詰め込む。
⑥基礎復旧:
ジャッキを取り外した部分はコンクリート表面の粉化物等を除去し、
モルタルで隙間なく充填を行う。
揚げ幅の大きい部分、斫り出したアンカーボルトの補修として、
横方向の鉄筋配筋を実施し固定する。
⑦床受け:
生活に支障をきたさない様、床束高さの調整を行う。

①アンカー斫り出し

②油圧ジャッキセット

③ジャッキアップ

④受け方

⑤基礎充填

⑥基礎復旧


約1ヵ月かけて床をほぼ水平に戻し、一部の床を解体して微調整を行いました。
床レベル補正前                                                               床レベル補正後

  

 

 

■劣化対策
外壁の破損はサイディングの土台付近や窓周りのクラックや欠けなど、比較的軽微でしたので補修のみとしました。
内壁は石膏ボードのクラックや剥がれが多数ありましたので全て剥がしました。
また、敷地が崩落したために給排水配管類が破損したので新たに配管を行いました。

■耐震性
基礎は地盤の崩落により東側に大きく傾いたが、大きなひび割れは発生していませんでした。
土台や柱等の構造躯体も破損は無かったが、内壁を全て解体するのに伴い、さらなる耐震性能の向上の計画を立てました。

                          

■断熱性
壁断熱材の新築当時の施工法は柱の内側に留めつけてあり、また包装も劣化していたため下にずり落ちて断熱の連続性が失われていました。

 

高性能グラスウール16k厚み100mmへと入れ替え、現在の施工基準に則って隙間なく施工しました。

■統括

耐震性以外の性能はあまり上がっていませんが、そもそもの目的はお施主様に震災前の平穏な生活を送っていただくことでした。
震災直後ということもあり、施工パートナーや建材の手配に苦労しましたが、外構工事まで年内に完了し、
お施主様も仮設住宅から戻ってくることが出来て喜んでいました。

熊本では震災から2年以上たちました。
解体工事は随分と進みましたが、まだまだ屋根にはブルーシートで覆われた屋根や、外壁が大きく崩れ、修理を待っている家が見られます。
また、人手不足や資金面から、未だに仮設住宅から自宅へ戻れない方もいらっしゃいます。
先日、私の大好きな熊本城の天守閣の屋根瓦にシャチホコが戻りましたが、周りの石垣の復旧はまだまだです。

今回の震災の経験を通じて、私たち住宅医の使命は人々の生活や命を守るモノを作ることだと実感しました。
今後も住宅医スクールで学んだことを実践して、一日でも早く熊本の皆さんに笑顔が戻るように
住宅医として様々な改修工事を行っていきます。

熊本県 新産住拓株式会社 リフォーム事業部 蓑崎寛規

投稿日:2018年04月06日

事例報告(改修事例)2018-78


■改修事例報告
熊本県菊池市 築60年の長期優良住宅化リフォーム

■改修概要
施工:新産住拓株式会社
設計者:松野 洋二郎
築年数:昭和28年 築60年(調査時)
主用途: 専用住宅
構造・階数: 木造2階建て
敷地面積: 920.99㎡
建築面積: 164.85㎡
延床面積: 207.19㎡ (1階164.85㎡2階42.34㎡)
現地調査:2014年12月
着  工:2015年9月
竣  工:2015年12月 (工事期間4か月)
改修内容:耐震性能向上、断熱性能向上、間取り変更、設備機器の更新など
補助金 :長期優良住宅化リフォーム推進事業を使用

■現況状況
基礎 :玉石基礎+延べ石基礎+一部土間コン
外壁 :真壁造り 土壁厚約70~80mm+漆喰壁
断熱材:床、壁、天井 全て無断熱
内壁 :和室  土壁+聚楽塗
その他 :大壁 胴縁+プリント合板4mm
床材 :1階「21mm厚板仕上 火打なし 根太転ばし@333」
2階 :根太天井+フローリング張り 火打なし
接合部:接合部Ⅳ:3kN未満(ほぞ差し・釘)

■ご相談から竣工まで
初めてご相談を受けたときは築60年になった古い建物が本当に良い建物になるのか?
壊して新築したほうが良いのではないか?ということでリフォームするか非常に心配され悩まれておりました。
物件を調査した結果、一部白蟻被害はありましたが部材の取り換えすることで十分良い建物になると判断して改修工事を進めていきました。
長期優良住宅化リフォーム事業の補助金が使えましたので、省エネ性能向上、断熱改修や耐震改修につながるように提案をしていきました。

■改修希望内容

古い材など生かした間取り
収納が多くて明るい部屋
古くなった水回り設備の一新
断熱性能を上げたい
家の中の段差を無くしたい

 

改修前 1階平面図

 

改修前 2階平面図

 

改修後 1階平面図

 

改修後 2階平面図

 

 

 

■劣化対策

ユニットバス工事、床下白蟻防蟻処理、床下一部土間コンを打ちました。
外壁は真壁仕様だったので柱、梁など風雨による劣化が見られたので、
構造躯体を保護する意味も兼ねてバス板モルタルの大壁仕様(付け柱@一間)としました。

■耐震改修提案

耐震性能:構造評点0.43から1.0へ
1階の東側は既存を残す模様替えであったため西側壁の強度を上げすぎると配置バランスが悪くなり剛芯がずれていきました。
剛芯がずれてしまうと低減係数で減点されてしまうので耐力の小さい壁をバランスよく配置していくようにしました。
耐震構造評点も1.0をやっとクリアする程度であったため今後は1.5以上を目標値として提案していきます。

耐震診断一般診断

 

壁補強計画

 

■断熱改修対策

床・壁・天井と無断熱状態でした。

改修前Q値7.43 UA値 2.53
改修後Q値3.67 UA値 1.24(改修していない箇所含む)

・床は充填断熱:押出法ポリスチレフォーム保温板50㎜
・外壁は既存土壁+グラスウール10K100mm。寒さ対策をとるため一部壁面は
押出法ポリスチレフォーム保温板50㎜を内壁に貼って断熱対策をとりました。
・天井はグラスウール10k200mm敷き込み。
・アルミサッシはアルミ樹脂複合サッシ+LOWEガラスとしました。
・断熱対策は未改修部もあるため、現行基準の断熱性能には至りませんでした。
改修部と未改修部との断熱をどう考えていったが良いのか?壁が土壁の断熱の取り方をどうしたら?
など今後の断熱改修の提案課題が見えたところとなりました。

■省エネ、バリアフリー・火災計画

省エネ効率を高めるため給湯器は高効率のガス給湯器に取替。水栓は節水型、
照明はすべてLEDにして省エネ設備を積極的に取り入れました。
バリアフリー計画は家の中の段差を無くしました。昔の土間部分は梁が低い位置にきているため
間取りの計画も梁の高さを考慮しながら邪魔にならないように計画しました。
居室の出入口の幅は75センチメートル以上、浴室の出入口の幅は60センチメートル以上を確保しました。
廊下幅は780mm以上を確保。玄関上がり口、トイレ、浴室・階段には手すりを設置しました。
火災時の安全対策として2方向避難できるような間取り計画しました。
火災発生時の避難を容易にするための対策として、早く火災を察知して迅速に避難を開始するために重要な連動式の
「火災報知器」を各居室・寝室・台所・階段上部に設置しました。それに加えて消火器を設置しました。
軒裏の防火性能確保は化粧垂木のままでしたので軒裏部のみ防火性能の確保はできませんでした。

 

■統括

ご相談から現地調査プラン提案設計見積もり契約詳細打ち合わせ工事管理完了検査引き渡しまで担当させていただきました。
改修工事相談から工事完了引き渡しまで約1年がかりでした。
祖父の代から受け継がれた家を守っていきたい。自分の代で無くしたくない。と言った家主の想いを形にすることができ大変喜んでいただけました。
段差も無くなった。家の使い勝手も大変よくなった、冬はとても暖かくなった。暖房一つで十分になったと言っていただけました。
そして、お引渡しから約4か月後、熊本県上益城郡益城町を震源とした熊本地震が起こりました。
2016年4月14日(前震)16日(本震)2度に渡る震度7、過去に例のない大地震。この建物も最大震度6強の大地震に被災しました。
ただ幸いにも被害はほぼゼロの状態でした。耐震改修工事まで意識して提案計画していなかったらもっと被害が多く出ていた可能性もありました。
改めて耐震設計の重要性と耐震工事を担う建築士の必要性、それに耐震工事を担う責任感を感じました。
その年の2016年、住宅医スクールの講習を受講いたしました。その時初めて住宅医と言う言葉を聞きました。
住宅医スクールは治す力を持った設計者を育成するところ、改修のスペシャリストを育成するところです。
住宅医スクールでは劣化対策、耐震対策、断熱対策、省エネ対策、バリアフリー対策、火災の安全性や予防対策といった様々な角度から
建物の性能を数値化して点数をつけ改修設計をしていく手法を学ぶことができました。
改修工事をすると面白さや難しさを常に感じますが、住宅医スクールで学んだことを実践できるように、今後も改修工事に携わってまいります。

熊本県 新産住拓株式会社 リフォーム事業部 松野 洋二郎