投稿日:2018年10月02日

事例報告(改修事例)2018-83


「墨田の家2」改修事例報告

 

■ 改修概要
設計者・報告者:伊澤計画 伊澤淳子
所在地:墨田区墨田(近隣商業地域・準防火)
用途:一戸建ての住宅
築年数:1964年(築64年工事が終った去年から考えると63年)
前面道路:二項道路
規模:木造二階建て
敷地面積:71.96㎡(23.28坪)
建築面積:43.27㎡(13.08坪)
延べ床面積:86.54㎡(26.16坪)
着工:2016年10月中旬
竣工:2017年2月末

家族構成:クライアント65歳(障碍者認定3級)、30代子供夫婦、孫。計4名
改修内容:耐震改修、断熱改修、防火改修、間取り変更、内外装や設備の更新等全面改修

 

■ ご相談〜竣工までのスケジュール

 

2015年12月相談を受ける。
・ クライアントは足を煩い、階段の上り下りが難しくなった。 そのためダイニングにベットを置いて、プライバシーのない生活している。それを改善するとともに、将来車椅子の生活を想定した改修をしたい。
・ 古い建物で、断熱性能が無い。
・ 地震に強くして欲しい。
・ 家の中が暗い。
・ 建て替えると家が小さくなってしまう。

○2016年1月耐震診断契約
・ 5名で調査を行う。
・ 診断結果説明、補強計画案提示。
・ 新築と改修それぞれについて比較検討。
・ 改修基本プランを提示。→改修を選択
○2016年2月設計監理契約
改修の実施設計を始める。
○2016年10月中旬着工
○2017年3月工事完了

■改修前写真

  

▲改修前外観

 

▲南側庭                  ▲1階ダイニング

 

▲階段                   ▲2階寝室

▲2階和室

 

■調査写真
(外部)

    
▲外壁:ラスモルタル仕上部分に大きなクラック   ▲クラック巾0.7㎜程度

▲ 外壁錆

(内部)

 

▲1階床下                 ▲浴室入り口部:土台腐食部分

 

 

▲浴室:タイル割れ             ▲鉄筋探査

 

 

▲2階床下                 ▲小屋裏

 

▲含水率測定

 

■調査結果

○劣化診断

1.外部
・ 外壁はトタン張りで、全面に錆が進行しており、下端には欠損がみられる。モルタル部分にもクラックが多数見られ、過去の内部雨漏りとあわせると、壁下地が腐食、クラックが出来たものと思われます。
・ 増築部外周一部CB基礎のところあり。

2.内部
・ 倉庫の壁仕上に雨漏り跡あり。
・ 浴室タイルの割れは土台が腐っている事が原因。基礎はCB
・ 脱衣部床の蟻害による劣化の補修跡
・ 2階北側の雨漏り跡がある。
・ 階段部分のクロスの剥がれ。
・ 小屋裏は金物、筋交い、火打梁なし。隙間がみられ、断熱材なし。

○耐震診断(一般診断)

・ 1階X方向が一番弱く評点は0.43
・ 偏心率は大きくない(最大で0.057)
・ 劣化度が高く×0.7となる。
・ 接合部は釘打、ほぞ差し
・ 筋交い、火打梁無し。
・ 壁の耐力が弱い。
・ 基礎鉄筋なし

○省エネルギー

• 床:1,2階一部:発砲スチロールt30
• 窓は単板ガラス、ガラスには梱包材が張ってある。
• 開口部:アルミサッシ単板ガラス+大きな窓には梱包材張り
• 小屋裏、外壁には断熱材が入っていない。
• UA値:2.96W/㎡K>0.87W/㎡K
• Q値:10.52W/㎡K
• 一次消費エネルギー:77.92GJ

○バリアフリー性

• ダイニングにベットが置いてあり、プライバシーが保てていない。
• 浴槽の縁が65cm、湯船につかれない。窓が大きく浴室が寒い。
• トイレや水回りの入り口はドア。
• 倉庫から玄関の段差は275mm

○火災時の安全性

• 屋根:ガルバリウム横葺き
• 外壁:波板鋼板一部ラスモルタル。
• アルミサッシではあるが、網入りガラスの所がない。
• 排気口に防火ダンパーがついていない。
• 住宅用火災報知器がついていない。
• 壁仕上、下地に合板を使っているところが多い。

 

■ ご提案

• クライアントの寝室の近くに水回りを配置
• 将来介助スペースとして洗面所とトイレの壁をとりはずせるようにした。
• 南側の庭を生かす。(狭いダイニングを少しでも広く見えるようデッキを作る。)
• 1階南側デッキに洗濯物を干せるように(クライアントの家事参加ができるよう)
• 子供部屋は後に分けられるよう。
• なるべく引き戸。
• 階段、欄間から光が入るように。

 

○ 劣化対策改修

• 柱及び間柱の防蟻処理。
• 床下の防湿土間コンクリートの打設。
• 樋の交換、軒天のモルタル部の補修。
• 腐食部の外壁下地、土台、柱の入替。
• 屋根の立ち上がり部を片流れに改修。
• 外壁は金属サイディング、通気工法とする。

 

 

 

○ 耐震性能の向上

• N値計算の上、金物補強。
• 基礎を新設あるいは一部補強。
• 筋交い、一部構造用合板で耐震壁を新設。
• 1階X方向1.433 Y方向1.534。
• 2階X方向2.375 Y方向2.096。

 

 

 

▲壁:筋交い90×45設置     ▲火打梁設置

 

 

▲土間打設状況               ▲基礎補強:既存無筋ろうそく基礎→添え基礎

 

 

○断熱改修後

• 壁・2階天井裏:GW24K100㎜(気流止めなし)。
• 床:根太間フクフォーム45㎜。
• 開口部:複層ガラス、金属製樹脂アングルサッシ
• 外壁:金属サイディング張り通気工法。
• UA値:0.73W/㎡K。
• Q値:2.85W/㎡K。
• 省エネについては、照明器具のLED化、採光、通風を意識して窓を配置。
• ダイニングの入り口には引き戸を設けて冷暖房のゾーニングが出来るよう。
• ユニットバスは断熱タイプを採用。

▲壁:通気胴縁20㎜            ▲壁:断熱材施工状況GW24KG100㎜

 

        

▲2階から採光が取れるような階段のつくり   ▲開け放せる高さに窓を設置

▲1階床:根太間断熱材 施工状況 フクホームt45

 

○バリアフリー改修

• 寝室と水回りを近く
• 玄関に折りたたみベンチ設置
• 玄関、廊下、トイレ、浴室に手摺
• 浴室のバリアフリー化(低浴槽、入口フラット)
• デッキに物干設置
• なるべく引き戸

※将来車いす対応を考えて
• 簡易スロープで出入り
• トイレの間仕切り撤去
• 入浴は介護サービス利用予定

 

▲改修前浴室           ▲改修後浴室

 

▲改修前:玄関          ▲改修後:玄関外側

 

▲改修後:玄関内側       ▲改修後:寝室横洗面トイレ

 

○防火改修後

• 外周部壁:金属サイディング+石膏ボードt15+断熱材グラスウール100㎜ (準耐火構造45分)
• 開口部:網入りガラス、あるいはシャッター設置
• 1階天井:強化石膏ボードt15
• 各居室、クローゼット、階段に住宅用火災警報器設置
• コンロまわり不燃仕上(キッチンパネル)
• コンロの排気はスパイラルダクトRW巻、ベントキャップはFD付き。
• 軒天:ケイカルt16

 

■性能診断結果概要

 

• 火災時の性能、耐震性、断熱性に 関しては長期優良住宅レベルを満たす。
• 劣化対策については、南側に向って地盤が高くなっており、基礎の高さが、地盤面から土台下端30cmを確保できないところがあった。
• 地盤の防蟻をしていない。
• バリアフリーに関しては部屋の面積が 収納を除いて4.5畳であり、6畳に満たない。
• また、トイレの入り口がW700であり満たない。
• 省エネルギー性については、数値としては少ない向上であるが 住まい手の体感としてはとても良くなったとのこと。
• 高齢者自立支援、介護保険、防火改修、耐震改修、耐震診断、5つの助成金を利用している。

 

おわりに
今回、自分で改修設計したものを検証するよい機会となりました。
特に省エネルギーの計算については少しハードルが下がりました。
感覚的なものを数字にし、一つの目安として、またそれに振り回される事なく設計に生かして行きたいと思います。
伊澤淳子

 

投稿日:2018年09月06日

事例報告(改修事例)2018-82


改修事例報告
「N邸」改修事例報告 (建具屋さんの家→看護婦寮→子育て世代の家へ)

 

■改修概要
設計者:フジモトミユキ設計室 藤本 美由紀
報告:フジモトミユキ設計室 藤本 美由紀
所在地:熊本県熊本市中央区 (準防火地域・2中高住居地域・Ⅳb地域)
主用途:一戸建ての住宅
築年数:1986年(築32年)
規模:木造二階建
敷地面積:176.36㎡(53.24坪)
建築面積: 95.68㎡(28.89坪)
延床面積:160.54㎡(48.47坪)
着工:2015年6月
竣工:2015年9月
(工事期間3ヶ月)
家族構成:世帯主(44才)、妻(42才)、子(長男、長女、次女) 計5名
改修内容:耐震改修、断熱改修、間取り変更、内外装や設備機器の更新など全面改修

■ご相談~竣工までのスケジュール
2014年11月
お子様方の成長に伴い、お住まいのマンションが手狭になってきたことがきっかけで、お父様所有の看護師寮として使われていた戸建住宅に引っ越されることを決意され相談を受けました。
元々建具屋さんの家でしたので、建具が凝ったものでしたので使えるものは残そうという考えに至りました。建替も検討されましたが、予算内で、同じ規模の住宅は難しいこともありましたので、全面改修をご提案しました。

2014年11月 設計監理契約
既設図面がまったくなかったことから、実測後図面を起し、基本設計を進めました。

2015年2月 隠蔽部の調査
既存建物の床下の状況や不陸等の調査、設備機器の劣化調査を行い、実施設計を進めました。

2015年6月 着工前確認
着工前に張替予定の既存床を解体し、腐朽状況を確認後、床下の改修をどこまで行うか検討しました。

2015年6月 着工
2015年9月 竣工

■改修前写真


1.外観               2.仏間・ダイニング

 

3.ダイニング・キッチン         4.中二階 和室

 

5.一階 和室           6.外部空間(濡れ縁)

 

 

   

7.一階ホール            8.二階ホール

 

■隠蔽部調査

LDK床下                 浴室・洗面脱衣室床下

 

LDK壁                   和室壁

 

(劣化対策)
・シロアリ駆除は定期的にされていたようで、土台・大引に防腐処理がみられた
・床下は意外とからっとしていた
・水廻り付近柱・土台に蟻害・腐朽が確認された
・布基礎には特にクラックは確認されなかった

(耐震性)
・耐力壁 片筋交い30×90を確認 全体的に筋交いが少ない
・一般診断法を用いて構造計算を行った結果、劣化度による低減指数は0.71であった
柱軸力はOK 床耐力はNG

(維持管理・更新)
・屋根、設備関係が経年変化による劣化が見受けられた
・ヒアリングより、東側中庭がじめじめしているとのこと
・南側縁側の木材が経年劣化の傷みあり

(省エネルギー性)
・壁の断熱材は密に入っていた。垂れも少ない
・Ⅳ地域内に建つ既存家屋の断熱性能は旧省エネ基準(S55年)を満たない数値であった
・外壁にグラスウール(ア)50mm、天井にはグラスウール(ア)100mmが入っていたが、その他の部位に断熱材は確認されなかった
・出窓の枠周りが結露により腐朽している

(バリアフリー性)
・各室出入口段差:15~20mm
・玄関土間-踏台段差:230mm 浴室-脱衣所段差:170mm
・階段:急勾配のストリップ階段であるため、小さいお子様の昇降時の転落・転倒を心配されていた

(火災時の安全性)
・準防火地域 第2種中高層住居地域
・屋根:セメント瓦
・外壁:モルタル+リシン吹付
・住宅用火災警報器:未設置
・火気使用室(台所)の内装:タイル張り

 

■ご要望
・子供3部屋、夫婦寝室、夫婦書斎が必要
・LDKを広く、快適に
・収納を多く
・家事のしやすい動線で
・台風で瓦が飛ぶのではないかと心配
・寒いのが苦手なので、これまでの住まい(マンション)と同じくらいの暖かさを
・道路側からLDKが見えないように

■ご提案
ご要望を受け、「家事ストレスの少ない、家族みんなが楽しく集える家」をテーマに計画しました。
・フルタイムで働く奥様の家事ストレスを少なくする家
・住宅密集地でも、外の目線を気にすることなく、リビングで楽しく集える家
・半屋外空間をもつ家(ウッドデッキ、洗濯干し場)
・片づけしやすい家(必要な場所に適当な収納の確保)

 

■平面計画

一階は南側和室の建具を撤去し、LDKを広くし、濡れ縁の延長としてウッドデッキを設け、屋内外一体的な利用ができるようにしました。北側和室はご夫婦の書斎とウォークイン・クローゼット(以下Wcloと表記)に変更しました。Wcloと洗面脱衣室を隣接させ、とりこんだ洗濯物をWcloに収納する際、入浴後に必要なタオルや着替えをどちら側からも使える棚に収納すれば片付けの時短につながります。
多くの図書や書類をお持ちのご夫婦なので、書斎は本棚をたくさん設けました。
中庭は隣の家の視線をゆるやかに遮り、晴れた日の洗濯物干しスペースとしました。キッチン~洗面脱衣室~Wclo~中庭の動線をコンパクトにし、家事のしやすい空間にしています。
スキップフロアの中二階は夫婦寝室としてだけでなく、雨天時の洗濯物干しスペースにもなります。
二階はほとんど間取りの変更はしておりませんが、朝の身支度の時間が集中しているため、二階ホールを少し広げ、洗面化粧台を新設し、渋滞緩和を図りました。
階段は急勾配のストリップ階段でしたので、新しい階段は勾配を緩やかにし、階段下部には収納をつくり、収納スペースをできるだけ多くしました。
寒がりの奥様のため、床は床下断熱、窓は全てペアガラスに取替え、断熱効果を高めました。

■劣化対策

・床撤去 → ポリエチレンフィルム敷込・鋼製束に取替え
・腐朽している土台や柱・大引撤去 → 新しい材に取替え
・数年誰も住んでいなかったこともあり、今回防蟻工事も行った

 

■耐震性

・主寝室(和室):じゅらく壁の上構造用合板(ア)9mm
間仕切・内壁改修部分についてはPB(ア)12.5mmを増し張り
・一階床:大引+構造用合板(ア)12mmの上無垢フローリング(ア)15mm
二階床:既設床の上に下地調整構造用合板(ア)9mm+フローリング(ア)12mmを増し張り

 

■維持管理・更新

・屋根:セメント瓦を防災瓦に葺き替え(一部下地補修、アスファルトルーフィング取替え)
・樋は経年劣化していたため、全て取替え
・外壁は出窓・一部窓の撤去に伴い、建具枠周辺の補修もあるため全体をメンテナンスすることとし、シリコン塗装を施した

 

■省エネルギー性

 

・一階居室床:スチレンエースⅡ(ア)40mm/通路:スチレンエースⅡ(ア)25mm/ガレージ天井:ホームマット425(ア)100mm
・外壁側:内側を取り外した箇所のみ、ホームマット425(ア)75mmで断熱性能を確保
・二階出窓は未断熱のため窓枠が結露により腐朽していたため、全て撤去
・吹抜FIX窓以外の建具:アルミ+樹脂サッシ(ペアガラス) に変更
・設備機器も省エネ機器を選択

 

■バリアフリー性

 

・階段:段数を増やし、緩勾配に(階段下は収納設置)
・階段手すり:木製で握りやすい形状に
・玄関、一階LDK、洗面脱衣室等、家事動線部分に絡む部屋は引戸に
・床:すべて張り替え、部屋間の段差を解消
・浴室、WC:手すり設置

 

■火災時の安全性

・寝室、階段:住宅用火災警報器を設置
・ガスコンロ側の壁:不燃キッチンマグボード張り
・LDK壁:PB(ア)12.5mm+準不燃ビニルクロス張り
・屋根:防災平瓦に全て取り替え
・外壁:高圧洗浄の上、弾性系塗装

 

■性能診断結果

住宅医スクールに参加して、受講以前に改修した建物について見直しができました。お施主様には明るく、暖かい、住みやすい家になったと感想をいただいておりました。お言葉通り、数値的にも
劣化対策、省エネルギー性、バリアフリー性、火災時の安全性については性能向上できたことがわかりました。床耐力が低かったので床の補強は行いましたが、柱軸力は満たしていたこと、外壁は触らないことから壁の補強はしませんでした。

 

■竣工

外観

 ⇒ 

 

リビング・ダイニング

 ⇒ 

 

ダイニング・キッチン

 ⇒ 

 

中二階和室を寝室に

 ⇒ 

 

一階和室を書斎とWcloに

⇒ 

 

一階ホール

 ⇒ 

 

 

二階ホール

 ⇒ 

 

 

外部空間

 ⇒ 

 

■総括

設計当時は予算の都合上、経年劣化した設備機器の省エネルギー改修、台風災害予防としての防災瓦屋根改修に重点を置いていました。住宅医スクール講義受講後、耐震性、断熱性に関して抜本的な改修ができなかったことについては配慮が足りなかったと反省しております。改修から7ヶ月後に起こった熊本地震で被害がなかったことは幸いでした。
住宅医スクールの検定発表会において、耐震補強については、二階外壁がセットバックしていること、スキップフロア(中二階)があることから、慎重な検討が必要とのご指摘を受けました。より耐久性を高めるためには構造の詳細な検討が必要だと感じました。
まだ復興は道半ばです。今後は住宅医として学んだことを改修設計に活かしていきたいと思います。

藤本美由紀

投稿日:2018年06月07日

事例報告(改修事例)2018-80


■改修事例報告
熊本県熊本市 築36年 スマートウェルネスリフォーム
■改修概要
施工:新産住拓株式会社
設計者:田中 俊史
築年数:昭和56年 築36年(調査時)
主用途:専用住宅
構造・階数:木造平屋建て
敷地面積:208.57㎡
建築面積:89.8㎡
延床面積:87.99㎡
現地調査:2015年10月
着工:2016年9月
竣工:2017年2月 (工事期間5か月)
改修内容:耐震性向上、断熱性向上、間取変更、設備機器入替、屋根葺き替えなど

■現状状況
基礎:布基礎(無筋)
外壁:モルタル
断熱材:床下 無断熱
壁 ロックウール35㎜
天井 ロックウール35㎜
内壁:ラスボード+聚楽壁
合板
石膏ボード+クロス

床材 合板フローリング12㎜ 火打ち有 根太転ばし@303
接合部:接合部Ⅳ:3kN(ほぞ差し・釘)
サッシ:アルミシングルガラス

■ご相談から竣工まで
ご相談受けた時、中古物件を購入し、新築かりフォームかで迷われていました。
建物は36年間メンテナンスがされていませんでしたが、調査を行い、基礎・軸組共しっかりしていたため
リフォームで十分性能向上ができると判断しました。
スマートウェルネス住宅等推進事業の補助金を使うことができたため、断熱、省エネ等の性能向上を考慮し進めました。
2016年5月に熊本地震発生のため、耐震計画の見直しを行いました。変更点として地震地域係数Zを0.8から1.0へ変更し、上部構造評点を1.5以上を目標としました。
また、着工も4か月延期としました。

現状写真

 

 

改修希望内容
使いやすい間取りへ変更
断熱性、耐震性、省エネ性向上
6畳と4.5畳の和室を作りたい
子供部屋を作りたい
収納を増やしたい
車を3台駐車したい

 

 

改修前平面図

 

改修後平面図

 

 

 

■劣化対策
セメント瓦の劣化に伴い、ルーフィングをゴムアスファルトルーフィングへ取替し、防災陶器瓦へ葺き替え。
湿式浴室をUBへ取替え。
布基礎だったため、土間コンクリートt=60mm打設後、防腐・防蟻工事を行う。
外壁が通気工法ではなかったため通気工法へ変更。
水廻り変更により給水・給湯管入替。

■耐震改修提案
一般診断法で評点1.5以上になるよう耐震補強を行いました。
柱の柱頭柱脚を規定の金物で補強を行った。
既存の耐力壁である筋違も全て入替を行い所定の金物で補強した。
解体時、既存の玄関柱に腐朽が見られたため、柱の取替えを行った。

 

■断熱改修対策

既存のアルミ単板ガラスを複層ガラスへ全て入替を行った。
既存の断熱材を全て外し、床に押出法ポリスチレンフォーム保温版(3種)、壁に高性能グラスウール断熱材16K t85㎜、天井にグラスウール断熱材 10K t200㎜を充填した。

改修前 Q値5.78  UA値 1.61
改修後 Q値2.16  UA値 0.54

 

 

■省エネルギー対策
ガス給湯器から高効率エコキュートへ取り替えた
熱源を電気・ガス・灯油だったが、オール電化とし、家計面でも省エネを図った
湿式浴室から、UB高断熱浴槽へ取り替えた。
太陽光発電設備 5.52kwを設置した
■バリアフリー対策
各所にあった段差を大引きまで撤去し、新たに床組を行い段差解消を行った
浴室に手すりを設置した
玄関を東側から北側へ間取り変更し、駐車場部分のフェンスを撤去を行いました。砂利敷きの駐車場を土間コンクリートとし玄関へのアプローチを容易にした

■火災時の安全性
火災、煙報知器を各居室に設置した
ガスコンロからIHへ変更した
消火器の設置を行った

 

 

■総括
当初2016年5月着工予定でしたが、2016年4月の熊本地震の影響により着工を9月に延期いたしました。
同時期に住宅医スクールの講習を受講し、耐震対策、断熱対策、劣化対策、省エネ対策、バリアフリー対策などの重要性を知りました。
住宅医スクールの講義を受け、本工事の耐震計画、断熱について見直しを行いました。
工事が完成し、お客様の感想として、使いやすい間取りになりました。部屋が明るく、冬はとても暖かくなった。素足で生活しています。大変満足されています。
住宅医スクールでは劣化対策・耐震性・断熱性・省エネルギー性・バリアフリー性・火災時の安全性など数値で建物の性能を確認することができるため、お客様への提案がしやすくなりました。
今後も、住宅医スクールで学んだことを実践し、治す力をもった住宅医として改修工事に携わっていきます。

熊本県 新産住拓株式会社 リフォーム事業部 田中 俊史