投稿日:2016年05月27日

事例報告(改修事例)2016-57


岐阜県「大野の家」改修事例報告

報告:設計工務店 リビングプラザ/大橋利紀

 

お引き渡しの際には、
BeforeからAfterの変貌に驚きと喜びの言葉を頂きました。
耐震性能向上は耐震工事前後の常時微動計測データを見て頂くことで大きな安心感を得て頂きました。
温熱性能の改善は、実測データをもとに解説し、断熱性能向上をしっかり確認して頂きました。
周りにある豊かな自然の力を活かす設計をしていますので、
今後は、季節に合わせて住まい方に工夫して頂きながら快適に過ごして頂けたらと思います。

 

・設計 監理:株式会社リビングプラザ 大橋利紀

・施工:株式会社リビングプラザ

・設計期間:2014.8~2015.5

・工事期間:2015.8~2015.1

・所在地:岐阜県揖斐郡大野町

・建築時期:  S47 年

・構造:木造瓦葺き

・延床面積 104.34㎡  改修部床面積 77㎡(機能上の減築 27.34㎡)

・概要:

 

 

【施主様からの要望】

・雨漏りを直したい。

・定年後、2人暮らしの家。

・快適に暮らしたい。

・落ち着いた色使いの空間。

・トイレは寝室の近くにしたい。

・1階を中心に平屋のような生活をしたい。

・外の光を入れて室内を明るくしたい。

 

【リフォームの方向性】

・耐震性の向上を行い、安心して住める家に耐震改修を行う。

・使い方による減築(平屋仕様)を提案。

・断熱性、気密性の向上をはかり、冬期の温熱環境の改善を行う。

・夏の日射のコントロールを行い夏期の温熱環境をの改善を行う。

・昼間は照明なしでも明るく過ごせる住まいにする。

・通風利用により夏期中間期の快適性を確保。

 

 

改修前図面

改修前図面

 

改修後平面図

改修後図面

 

■詳細調査

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木製建具から雨漏り

木製建具から雨漏り

 

サッシの結露水によるシミ

サッシの結露水によるシミ

 

床下:土は多少高湿度

床下:土は多少高湿度

 

内壁の上部に横架材なし

内壁の上部に横架材なし

 

生物の巣

生物の巣

 

外周部:布基礎(ベース有)・内部: I 型基礎

外周部:布基礎(ベース有)・内部: I 型基礎

 

8

基礎幅:130mm 立ち上がり:450mm

基礎幅:130mm 立ち上がり:450mm

 

鉄筋検査(金属探知機

鉄筋検査(金属探知機

 

柱の傾き測定(デジタル勾配計)

柱の傾き測定(デジタル勾配計)

 

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コンクリート強度測定(シュミットハンマー) 換算:平均38.77(25カ所) → 約34N/mm2 〈F=(13R-184)×0.098 /日本材料学会〉

コンクリート強度測定(シュミットハンマー)
換算:平均38.77(25カ所) → 約34N/mm2
〈F=(13R-184)×0.098 /日本材料学会〉

 

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赤外線カメラで表面温度計測(夏の屋根 (Before)

瓦温度:65℃ 外気温33度   室温35度(無暖房)   断熱材:なし

 

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赤外線カメラで表面温度計測(夏の天井Before)

天井温度:42度   外気温33度   室温35度(無暖房)   断熱材:なし

 

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19 20

外壁の軸組・土台・ 地盤・床下の防蟻

 

21 22

床下の防湿(防湿シート敷込)

 

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小屋裏の換気設置

 

■耐震診断・耐震補強

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耐震診断

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耐震補強

 

■建築基準法による検証

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■耐震補強工事施工写真

既設基礎:ケミカルアンカーボルトM12

既設基礎:ケミカルアンカーボルトM12

 

新設基礎:アンカーボルトM12

新設基礎:アンカーボルトM12

 

柱脚柱頭金物

柱脚柱頭金物

 

構造用合板による耐力壁補強

構造用合板による耐力壁補強

 

耐力壁上部に横架材新設

耐力壁上部に横架材新設

 

 

■地盤

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地盤補強の有無の判断

・相当な経過年数経過。

・建物の自重が軽くなる(瓦撤去)。

・G-spaceの情報。

・近隣のボーリング調査データ

→地盤の補強は行わないと判断

 

■常時微動計測

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■温熱・省エネルギー性能

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階間の気流止め

階間の気流止め

内壁(ユニットバス)上下の気流止め(写真は施工途中)

内壁(ユニットバス)上下の気流止め(写真は施工途中)

床下断熱:大引間に充填80mm

床下断熱:大引間に充填80mm

土壁+外断熱/西面

土壁+外断熱/西面

充填断熱GW100 /北南東面

充填断熱GW100 /北南東面

44

エリア断熱:階間にGW200を施工

エリア断熱:階間にGW200を施工

46

2階への可動階段は可動式断熱蓋で。

2階への可動階段は可動式断熱蓋で。

 

■窓の性能

ガラスの性能画像

 

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樹脂アルミLow-E + ハニカム・サーモスクリーン (U値=1.37)

樹脂アルミLow-E + ハニカム・サーモスクリーン (U値=1.37)

q値(Befer→After):937.90→141.80[W/K] →約85%の熱損失を軽減 mC値(Befer→After):17.25 → 3.04 W/(W/m2) →約82%を軽減 mH値(Befer→After):21.53 → 5.18 W/(W/m2) →約76%が減少 Q値(Befer→After): 13.44→ 2.32W/m2K →約82%を改善 μc値(Befer→After):0.240→ 0.042 →約82%を改善

q値(Befer→After):937.90→141.80[W/K] →約85%の熱損失を軽減
mC値(Befer→After):17.25 → 3.04 W/(W/m2) →約82%を軽減
mH値(Befer→After):21.53 → 5.18 W/(W/m2) →約76%が減少
Q値(Befer→After): 13.44→ 2.32W/m2K →約82%を改善
μc値(Befer→After):0.240→ 0.042 →約82%を改善

 

■内部結露防止

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壁と断熱材の組み合わせに対して、冬と夏の内部結露を検討。

 

■一次エネルギ消費量計算

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■通風利用

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①風下側の開口部を小さくした場合:速度は低下するが、室内の広範囲にやわらかい風を期待できる。

②風下側に高窓を設置することで大きな風圧係数差を得ることができるため、小さな高窓面積でも効果がある。

/『自立循環型住宅への設計ガイドライン』p057参照

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複数の開口部を通過する通風経路の場合:通風経路上の1つの開口部面積が半分になっても、通風量が半分になるわけではない。/ 『自立循環型住宅への設計ガイドライン』p051参照

 

【通風シュミレーション】

外気:28℃ 室温:34℃ 風速:2.5m/

外気:28℃ 室温:34℃ 風速:2.5m/

 

■昼光利用

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【照度シュミレーション】

63 64

 

■日射遮蔽・日射熱利用

65

 

【日照シュミレーション】

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68

 

■室温シュミレーション(晴れ)

暖房なし

暖房なし

暖房なし

暖房なし

 

温度実測

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■赤外線カメラで表面温度計測(After)

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場所:LDK  上下温度差 2℃弱  床表面温度:20.3℃  室温:22℃

 

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場所:脱衣場  上下温度差 5℃   床表面温度:17.8℃   室温:21℃

 

■維持管理

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給水・排水ヘッダー設置

止水栓設置(建物内部用)

止水栓設置(建物内部用)

 

■防火

二方向避難の確保・源付近の内装:準不燃仕様

二方向避難の確保・源付近の内装:準不燃仕様

外壁の防火性能:土壁の防火性能を生かす(西面のみ)

外壁の防火性能:土壁の防火性能を生かす(西面のみ)

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■外構計画

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■完成写真

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投稿日:2016年05月11日

事例報告(改修事例)2016-56


黒埼の家 改修事例報告

報告:宮崎建築 宮崎直也

 

 

・設計 監理  宮崎建築 宮崎直也

・施工 宮崎建築

・設計期間 2014.6~2014.9

・工事期間 2014.10~2015.1

・所在地 新潟市西区

・築年数 1975年(昭和50年)築40年

・構造、規模 木造2階建て 延床面積:101.72㎡

 

□お施主様の要望、課題

・築40年の建売住宅の改修。

・屋根、外壁共に劣化あり。改修が必要な時期に。

・設備や内装も傷みが見られリフォームを検討。

・耐震性に不安があり、必要があればリフォームに合わせ補強をしたい。

・冬、とにかく寒くトイレやお風呂に行くのも大変。

・冬、窓面の結露がひどい。

・子供さんが独立され現在はご夫婦のみの生活。使用していない部屋もあるがリフォームするべきか。

・リフォームの補助制度などあれば活用したい。

 

□改修の方針

・屋根、外壁は建築当初のままでこれまで改修はしていない。今回の工事で屋根葺き替え、外壁貼り替え。

・耐震診断を行い評点が低い場合は耐震改修を行い評点を1.0以上とする。

・断熱改修は水廻り、リビング、寝室などを中心に生活スペースをゾーニングして行う。

・断熱区画はサッシを高性能品に交換。暖房、換気も同時に計画をする。

・2階はほぼ物置としての使用なので内装や断熱仕様は現状のまま。耐震補強のみを行う。

・新潟市の耐震改修の補助制度を利用する。平面図 既存1F

 

平面図 既存2F

平面図 既存

平面図 改修後1F

平面図 改修後2F

平面図 改修後

断熱ゾーニング

断熱改修ゾーニング

□現地調査

既存外観

既存外観

ポーチ柱劣化あり

ポーチ柱劣化あり

小屋裏にて筋交い寸法を確認

小屋裏にて筋交い寸法を確認

小屋裏筋かいを確認、断熱材は無し

小屋裏筋かいを確認、断熱材は無し

床下、根がらみ無し、束の寸法も小さい

床下、根がらみ無し、束の寸法も小さい

各室の入口は30~40㎜の段差あり

各室の入口は30~40㎜の段差あり

 

 

 

□補強工事

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解体はほぼ手作業にて行う。既存のまま工事をしない箇所を傷めないよう神経を使う。

 

 

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屋根の葺き替え工事。既存瓦を撤去しガルバリウム鋼板に葺き替え。

屋根材を軽くすることで耐震性能を向上させる。屋根構面は合板により補強。

 

 

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耐力壁直下を中心に基礎を補強。重機が入らないため基礎工事もほぼ手作業。

手作業の場合工期が通常よりも掛かりコストも割高になる場合がある。

 

 

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基礎アンカー増設、柱頭柱脚などの接合部は金物補強、合板による耐力壁の増設。

耐震診断の結果をもとに根拠を明確にし補強。

劣化箇所は交換、梁せいが不足な箇所は補強。

 

 

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床下は防湿シートを敷き込み砂で押える。床を撤去しない箇所は床下から断熱材を施工。

 

 

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(左)床、壁の取り合いは先行して防湿シートを施工。確実に気流を止める

(右)新規床組みの箇所は新築と同様の施工方法。

 

 

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ゾーニングをしての改修のため1階天井、2階床の間も断熱、気密処理が必要になる

施工者の技能、知識とも高いものが要求される。

 

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断熱材施工、気密シート張り。天井はロックウール吹込み。

天井裏は既存配線など凹凸が多いので隙間なく充填できるブローイングを選択することが多い。

改修の場合は特に天井の気密処理を慎重に行う。

 

 

竣工写真

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29 

 

 

 

□改修を終えて

・耐震性 工事前の最少評点は0.08であったが改修工事後は1.24まで向上した。

・断熱性 熱計算ソフトによる算定Q値は工事前13.9 工事後2.2となり断熱区画は新築住宅並みに断熱性を高めることが出来た。

・バリアフリー 床改修を行うことで各部屋の段差を解消できた。

 

黒埼の家改修工事では屋根、外壁の更新のタイミングと重なったため耐震性、断熱性を向上させる工事が比較的容易であった。

耐震改修は新潟市の補助制度を利用することで耐震診断判定会の意見を聞くことが出来、補強計画を立てるうえで参考になった。

断熱改修は熱計算ソフトを利用し費用対効果が最大になるよう各部位の仕様を決定した。

ゾーニングをしての断熱改修は初めてのケースだったが大きな問題なく終えることが出来た。温熱境界部分で処理が複雑になる箇所があり、現場での指示や施工図など今後工夫が必要と感じた。

 

 

お引渡しが冬だったこともあり「とても暖かくなった。」と喜びの声をいただいた。断熱性を高めることで冬でも戸を閉め切る必要が無く開放的な暮らしが出来るようになったことも満足度の向上につながったと考える。

耐震性の向上は日々の暮らしの中で実感することは少ないがいつか訪れる地震への備えができたことの安心感は大きいと考える。