投稿日:2016年04月11日

住宅医コラム 意見交換2016-65


古く素敵な建物が、簡単に壊されることを阻止するためには、どうしたらいいのでしょうか? そのためには、まず、壊されずに残り、愛されて使われている建物を、大いに誉めて、古い建物を壊さず大切に使うことが「誉められること。」と、多くの人に認識してもらうことなのでは? と考えました。

今月の、誉めコラム「改修建物を訪ねて」は、京都の古家改修「洛中簡素庵」です。

 

 

「改修建物を訪ねて~その4」

旦那の設計~京都の古家改修「洛中簡素庵」

三澤文子(MSD

 

 

私たちの漆塗りの師匠である沢田欣也さん。自宅および沢幸漆店という漆販売会社は、北陸の小松市にあるのですが、昨年京都で小さな古家を購入、この春から「金継ぎ教室」を始めたと聞き、4月はじめの土曜の午後、金継ぎを習うことと合わせ、興味津々で見学に行ってきました。

 

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その洛中欣也庵(私の勝手な命名であり、本当は本人命名の「簡素庵」だそうです。)は、阪急烏丸の駅を降り、東洞院通りを北に上がり、少し行って左の路地を奥に奥に入ったところにありました。表通りはたくさんの観光客が歩いているのに、奥に入ったら全く違う雰囲気です。こんな便利なところに・・・と少し羨ましい気持ちになりました。

 

聞けば、住宅医スクールでゲスト講師として来て頂いた、京都の不動産会社の八清さんから購入とのこと。初めてこの物件を見せてもらった時には、部屋の中から、空の光が見えるような危うい建物だったそうです。でも玄関の敷石が気に入ってしまい、結果的に購入し、リフォームすることになったそうです。

 

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そういえば、私も開口一番この敷石を誉めました。

 

 

小さな玄関土間に 畳2帖の水屋スペースがいきなり。これこそ省スペース。「いいな~」と感心します。それにしても時が経ったものの良さは格別ですね。

 

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そしてその先に、4畳半の茶室があります。今回はこの茶室で金継ぎ教室を行うため、テーブルと椅子がセットされていました。それでも、床の間には 欣也さん作の漆の作品が飾られていて、いい雰囲気であることは間違いありません。

 

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正面に目につく格子状のパネルは、エアコン隠しのもの。古い建具を転用したものです。欣也さんは、このおさまりが、かなり不満なようでしたが、私は「なかなかいいんじゃない。」と誉めます。ただし暖気がしっかり下に降りるのかが少し心配とも言いました。それにしても茶室の冷暖房は、なかなか悩ましいです。

 

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この茶室の脇には小さな庭があります。今回のリフォームで、この杉皮張りの塀もつくったそうです。

1階7坪ほど。さらに2帖半くらいの屋根裏部屋があります。もちろん小さな流しのある台所と、トイレもあります。

廊下の板は、ケヤキの板と思ったら、桐の板に漆を塗ったもの。さすがに漆のなせるわざ。

 

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襖の引手も、欣也さんのコレクション。襖紙の貼り方もずいぶんこだわって注文したそうで、これはコマツの職人さんにつくってもらったそうです。(京都では高くなってしまう。との説明でした。)

 

欣也さんのコレクションでは、ランプシェードが絶品。私も、新築改修問わず、最近は、ランプシェードは欣也コレクションを使用させて頂いています。水屋の照明は、これも、たいそうカワイイものでした。

 

IMG_2929 - コピー

 

「口で設計したわりには、良いではないですか!」と本気で誉めましたが、本人は色々不満もある様子。でも400万円ほどの改修でここまでできるのなら、素晴らしいです。

これこそ、旦那の設計。京都というポテンシャルのあるところだから、実行できたとは思いますが、壊れそうな魅力的な古家は、まだまだあるはず。そんな古家をこんな風に救えて、楽しみの空間に変えることができるのなら、本当に素敵だ。と、つくづく感心したのでした。

投稿日:2016年04月08日

事例報告(改修事例)2016-55


見返り美人 春明の家 改修事例報告

報告:㈱紙太材木店 田原 義哲

 

 

1.

・設計 監理:㈱紙太材木店 田原 義哲

・施工:株式会社 紙太材木店

・設計期間:2014.6~2015.2

・工事期間:2015.2~2015.9

・所在地:愛知県一宮市

・建築時期:濃尾地震後 1890年代

・構造:木造藁葺き 延べ床面積164.57㎡

・概要:今では珍しくなった藁葺き屋根の家、名古屋市中心部まで20分程度。

梁と柱だけを残したスケルトンの再生工事を行った。

 

 

2.経緯

北側外観は廃屋かと思われるほどの状況だった、都心近くにある藁葺き屋根の家ということで普通なら目立つ存在になるところだが通りからは一本外れているためひっそりとたたずんでいる印象がある。建物内部は古い民家の力強さを感じさせる構造で新築か再生かの検討もされていたようだが、ご主人の強い思いで再生工事となった。

 

 

3.改修内容

耐震、断熱という再生改修における2大テーマを主題とした。同時に古い民家自体が持つデザインをどこまで再現できるかが課題となった。

改修の第一のポイントは玉石基礎をベタ基礎とすること。

第二のポイントはデザインを考慮したバランスの良い耐力壁を設置し基準法の耐震等級をクリアすること

第三に温熱環境を改善しQ値2.7を越える性能にすること

第四に内観外観のデザインを極力既存建物に合わせること   であった。

 

 

改修前図面

改修前図面

 

改修後平面図

改修後平面図

 

 

 

4.詳細調査

詳細調査により幾度かの改修により隠れていた建築当時の姿と現状の建物の傷みが明らかになった。

過去に行われた改修は洋式生活への対応を主にしており、古さを隠す改修であった、また利便性のため差し鴨居が切断されている箇所や蟻害を受けた大黒柱をコンクリートでつないであるなど構造的な補強の必要性は建物全体に及ぶものであった。

0 改修前の小屋裏

改修前の小屋裏

1 後年の改修で隠れていた梁 

後年の改修で隠れていた梁

2 玉石に立つ束と蟻害のある大引

玉石に立つ束と蟻害のある大引

3 北側外観

北側外観

 

 

 

5.解体工事

4 解体中外観

解体中外観1

5 解体中外観

解体中外観2

6 解体中外観

解体中外観3

7 解体中外観

解体中小屋組

 

 

 

6.基礎工事中

基礎工事は予算との兼ね合いから揚げ屋は使わず、基礎業者と紙太材木店との協同作業。これにより大幅な予算削減が可能となった。

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基礎鉄筋工事

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基礎完了

 

 

 

7.構造補強

梁の交換や差し鴨居の入替え、金物の設置と言った補強だけでなく再生工事には現況の耐震基準を考慮した補強が必要

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構造材交換

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構造補強 金物

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小屋組再生

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小屋組

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差し鴨居

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水平構面補強

 

 

8.温熱環境

気密工事は室内温熱環境に直結する性能で断熱工事とセットで考える必要があり「気密なき断熱は無力なり」という言葉もあるとおり丁寧な施工が求められる。

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断熱材、気密シート

 

 

9.伝統的なデザインによる再生

古い民家の再生工事では常に意識されなければなりません。

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下見板張り

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漆喰塗り

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竪格子

 

 

10.見返り美人 春明の家

着工前

着工前 外観1

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完成 外観1

完成

完成 外観2

着工前

着工前 外観2

完成

完成 内部1

25 完成

完成 内部2

完成

完成 内部3

完成

完成 軒先

完成

完成 内部4

投稿日:2016年04月05日

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