投稿日:2016年02月23日

住宅医スクール2015 大阪 第8回のご報告


2月20日(土)、住宅医スクール2015大阪・第8回が開催されました。

「既存住宅の改修方法①」「既存住宅の改修方法②」「既存住宅の改修方法③」という3つの講義が行われました。その後、検定会も開催されました。

 

第1講義「既存住宅の改修方法①」事例に見る基礎の改修方法
三澤文子氏/Ms建築設計事務所・MSD主宰
河本和義氏/TEDOK主宰

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住宅改修の基礎部分の改修方法について、いろいろなパターンの実例を元に構造的な知識や見解を説明していただきました。事例ごとに良かって点はもちろん、改善点や注意点も細かくお話頂け、とても現実的な内容となりました。また工事費用の分析は普通あまり聞くことができない貴重な内容だと思います。

 

第2講義
「既存住宅の改修方法②」事例に見る軸組・壁・床・屋根の改修方法
三澤文子氏/Ms建築設計事務所・MSD主宰
河本和義氏/TEDOK主宰

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第2講義も、三澤氏と河本氏の講義です。住宅改修の軸組・壁・床・屋根の部分について、実物件の事例を元に基礎知識や耐震改修の要点を詳細に説明していただきました。
不具合箇所に対する具体的な対策の事例はもちろん、その理由を説明してもらうことで応用をきかせることができる内容でした。

 

第3講義
「既存住宅の改修方法③」事例に見る温熱・省エネ改修方法
辻充孝氏/岐阜県立森林文化アカデミー准教授

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まずは住宅の温熱環境との人体の健康への影響、また省エネルギー対策に関する点から温熱改修の目的や意義を説明していただきました。
そして、自邸で行っている省エネルギーのための改修の試みを一つずつ説明していただきました。改修の段階を追ったエネルギー消費量の変遷を説明いただくことで、具体的に工事の効果を感じることができました。

 

第4講義
検定会
北聖志氏/THNK一級建築士事務所
角和樹氏/株式会社ヤマヒロ
平賀基香氏/MSD

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第4講義では、住宅医検定会が開催されました。
検定会は実務で取組まれた改修事例を発表する場で、合格することで「住宅医」として認定されることができます。今回は修了生3名が発表し、三者三様の改修事例を聞くことができました。合否については、他会場で開催される検定結果も合わせて協議されることになります。

◇住宅医修了式

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検定会後には修了式が行われ、住宅医スクールを修了した方々に住宅医修了証が授与されました。その後懇親会も開催されました。

今回で2015年度の住宅医スクール大阪は全ての講座を終了しました。受講生の皆さんお疲れ様でした。2016年度も、大阪スクールの開催が決まっています。カリキュラムが確定し次第、改めて告知させて頂きますので、初めての方もOBの方も、多くの方々にお集まり頂けたら幸いです。

(関西事務局 日野)

 

投稿日:2016年02月10日

住宅医コラム 意見交換2016-63


古く素敵な建物が、簡単に壊されることを阻止するためには、どうしたらいいのでしょうか? そのためには、まず、壊されずに残り、愛されて使われている建物を、大いに誉めて、古い建物を壊さず大切に使うことが「誉められるれること。」と、多くの人に認識してもらうことなのでは? と考えました。

今月の、誉めコラム「改修建物を訪ねて」は、岡山県倉敷市の「倉敷建築工房」です。

 

「改修建物を訪ねて」

古民家再生工房の影響力~楢村徹さんの活動拠点

三澤文子(MSD)

 

倉敷の町に入ると、気持ちが高揚してきます。古いもの好きの性分は、この町並みに浸るのが幸せで、目に入るもの全てが興味の的になります。

素敵な店の前を通ると、すぐに吸い込まれそうになり、ツアーのリーダーに叱られたり・・

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昨年11月、阪神淡路大震災を契機に開校したMOKスクール大阪の、フィールドツアーの企画で訪問した倉敷。私たちの大先輩、建築家・楢村徹さんの事務所や、楢村さんの手掛けた再生プロジェクトを見学することが目的です。(このような旅、是非、住宅医スクールの研修旅行として企画したいものですね。)

 

私が尊敬する楢村さんは 1987年に「甦える民家」として岡山県で実物大の展示を行ったことを契機に、建築家の仲間6人で「古民家再生工房」を設立。その活動は私たちのあこがれであり、目標でもありました。

そんな大先輩の楢村さんは、住宅医の活動にも注目してくださり、2年前(2013年)には、「古民家再生工房」の主催する勉強会に私を講師で呼んでくださるなど、交流を得ることができました。そんなことから2014年の住宅医スクール大阪では開講日のゲスト講師として講義を頂くことも出来ました。

 

さて、倉敷はいたるところに楢村さんが中心になった再生の活動の成果が見てとれます。楢村さんの事務所「倉敷建築工房」も当然改修建物。地主さんが、「楢村さんなら。」ということで貸してくださったとのこと。

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明快で力強い構造架構。小屋組みや天井の板、素材のテクスチャーや色の組み合わせなど、全てにおいて、魅了される空間です。この空間で仕事をする充実感をじんわりと実感できる貴重な体験でした。

 

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工房に隣接する地主さんの蔵も、楢村さんの設計で藏カフェに。そのほかいたるところに楢村さん設計の改修空間が町の中に点在します。それらが近隣の方々に愛され、さらには観光客の人気の空間になっているのです。

 

楢村さんの工房にあった、モダンなマットは「倉敷緞通」。

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これは、昭和初期の民芸運動から生まれた民芸品を、楢村さんが復興のお手伝いをしたとのこと。本当に素晴らしい。

こんなモダンなデザインの「倉敷緞通」を是非、住まい手に提案して、是非復興のお手伝いをしたいものだと思いました。

地域の職人の仕事、産業まで後押しするような活動。改修設計の仕事はそんな奥の深い、幅の広いものなのだと、ますます元気を得た思いでした。

投稿日:2016年02月09日

事例報告(改修事例)2016-53


フクマチヤ 改修事例報告

・設計監理:Ms建築設計事務所/三澤康彦
・施工:有限会社 羽根建築工房
・設計期間:2015.2~2015.7
・工事期間:2015.7~2016.1
・建築年数:1912年(明治45年ごろ)約103年
・構造・規模:木造2階建て 延床面積:77.91㎡

・概要
大阪市福島区にある長屋の一棟を改修し、SOHOスペースを兼ね備えた事務所として再生しました。

図1 図2
・改修内容
事務所として活用するために内装を一新しています。また同時に断熱性能、耐震性能を改修工事によりそれぞれ高めました。
建物躯体については長屋という条件があるため、共有する柱の内側に新たに柱を設ける方法を採用しました。両隣の建物と縁を切り、将来的に両隣の建物のいずれかがなくなってしまっても独立して建物が成立するよう配慮しています。

 

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<建物調査>
建物の詳細調査を行い、床下、小屋裏の状況を確認しました。また計画に必要になる図面一式を作成しました。

 

図5図4
<劣化状況>
水廻りを中心に、柱は柱脚が白蟻の被害を受けている箇所が多数見受けられました。基礎はなく、柱が敷き土台の上に立ててある状況が主な原因です。また珍しいことに白蟻の被害は二階の床梁にまで及んでいました。二階の床梁は全て交換し、健全なものは柱材として再利用しました。

 

図6図7
<解体工事>
解体工事の前には地元福島天満宮の神主さんによる清祓い式を行いました。
解体作業は主に大工さんの手作業で行われ、屋根の構造体を除いてほとんどを取り払いました。

 

図8図9
<基礎工事>
基礎はベタ基礎を採用しています。既存の柱の内側に基礎の立ち上がりが設けられます。
大きな機械が入ることができないため、ここでも職人さんの手による作業が行われました。

 

図10図11
図15図16
<躯体補強>
既存柱の内側で新たな構造体を造ります。大工さんが現場で実際の寸法を当たりながら手刻みで作業を行います。
構造体の接合は木のほぞや込栓などだけではなく、金物も併用して計算上必要な箇所を補強していきます。
構造材は奈良県の吉野材を使用しています。壁倍率は鳥取県産材のJパネルを採用しています。Jパネルの内側にはパーフェクトバリアを充填して壁の断熱材を確保しています。

 

図17図18
<断熱補強>
断熱材をしっかりと充填して断熱性のを高めています。床は基礎断熱を採用しています。
両隣の住戸が壁を共有していて熱の逃げが少ないこともあり、Q値は1.8近くまで向上しました。

 

図19図20
<竣工写真>
左は打ち合わせ室、右は事務室の写真です。木の温かみのある美しい空間になりました。

図21図13
左は二階の様子。右は外観のファサードと写真です。

今後、住宅改修の情報を発信する拠点として、福島でますます活動を積極的にしていきます。