投稿日:2016年01月25日

1/22 第2回住宅医協会定時総会が開催されました。


1月22日金曜日 住宅医協会の定時総会が開催されました。

午前中は先立って理事会を行い、住宅医協会の事業の方向性や予算等の話し合いを行い、
午後からの総会では理事の専任、決算報告や収支予算計画について事務局から解説があり、
すべての議案について承認されました。
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今年度の事業としては、住宅医の活動の認知の向上を図り、多くの既存住宅の活用、再生を後押しすること
また、それに伴う技術開発、ツール整備、製品開発等を盛り込み、
会員、会員企業様にとっても住宅医協会の一員でいることで、より改修や調査診断がスムーズに行くよう、
協会としてもバックアップしていく所存です。


総会は、会員15名の少数で開催されました。
総会後は、町屋改修事例の今回の会場(フクマチヤ)の解説を正会員の三澤康彦氏、日野弘一氏に発表していただき、
昨年度の事業であった国立の文化住宅調査診断イベントの解説を理事の滝口泰弘氏が行いました。

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その後は会員同士の懇親会を行い、三澤理事の手作り料理とお酒で様々な意見を交換して盛り上がりました。
途中はなぶさから差し入れの鯖寿司、大変美味でございました。

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今年度の総会は、今回同様にミニ住宅医スクールを開催する、もしくはシンポジウム的なものを行う予定です。
多くの参加をお待ちしております。

事務局 藤村

投稿日:2016年01月11日

住宅医コラム 意見交換2016-62


昨年も、残してほしい優れた建築空間がたくさん壊されていきました。そのことを知るたびに悲しい気持ちになるのです。このように簡単に壊されることを阻止するためには、どうしたらいいのでしょう? まずは、壊されずに残って、そして愛されて使われている建物を大いに褒めて、そのように使うことが「褒められること。」と多くの人に認識してもらうことなのでは。と考えました。そこで本年は、素晴らしい改修建物を訪問し絶賛しよう!とうことで、「改修建物を訪ねて」を1年間お送りさせて頂きます。

 

「改修建物を訪ねて」

究極の改修建物~京都・俵屋

三澤文子(MSD)

 

昨年の3月、京都、俵屋さんに1泊いたしました。言わずと知れた、京都の俵屋さんは、江戸中期に建てられた商家が旅館になり今に至るわけなのですが、これこそ真髄の改修建物。毎年のように改修、修繕がなされ、瑞々しい息をふきこまれて益々美しさを増した空間になっていっています。これは、やはり体感してみなければなりません。

高級なお宿にとまるということで、少し緊張するのですが、門をくぐると出迎えてくださる俵屋の方々の表情・所作から、すぐにくつろいだ気分になれるのが不思議です。くつろいでしまうと、根っからの地がでてしまい。キョロキョロジロジロ。そしてコンベックスを出し・・・という建築小僧の性分がでてしまうのが困りものですが。

 

今回は新館のお部屋にとおされました。新館は吉村順三先生の設計なのですが、その後の改修の積み重ねを考えると、施工する職人さん、それを束ねる中村外二工務店の中村義明さんのお顔が思い浮かびます。そして、お会いしたことのない俵屋のご主人、年さんのことも。年さんこそ、目利きの素晴らしいデザイナー・建築家なのです。

なにしろ、繊細な気配り目配りがされた空間にいると、逆にくつろげるのが不思議です。雑な空間にいると、気がざわざわしてくつろげない。これも設計者のサガなのでしょう。

部屋の隅には、足を伸ばせる窓際の机。座るかどうかは別にして、2人用の席に、温かさを感じます。

 

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ここでも、細部に目が行くわけで、建具の見込み・みつけの細さにうっとり。

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とはいえ、ペアーガラスが・・・なんていう現実が一瞬、頭をよぎるものの、すぐに振り払って、庭につながる窓辺を堪能。それにしても、今さらかもしれませんが、雪見障子がいいな。なんていう発見もあります。

 

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見上げれば、天井の網代張りは、よくみる網代のおよそ2倍の巾。「太い!」これはここで編みながら張り上げるという手間のかかる天井仕上げだそうです。想像を超えた手間のかかり方。

 

 

さて、他の空間を探索しようということで、私たちのお部屋を出てウロウロ。

まずは、玄関近くの図書室。これが格別な空間なのです。

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本のある空間は、感性と知性がにじみ出て素敵。右脳の左脳が融合するような。この空間のつくられ方も、暮らす(ここでは訪れる)人のこころをリラックスさせることを意図していることがわかります。

 

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この小さなテーブルも、骨董的な古いもの。時間の流れを感じ、さらに「大切に、丁寧に使っているのだな。」と感じさせます。

 

 

俵屋さんの各シーンを巡っていくと、本が1冊書けるほど。このまま続けていくとたいへんなことになってしまいますので、このあたりでストップしますが、とにかく一度体感していただき、「古いものの良さを継承しながら、今に合わせて改修してくことの大切さ」を感じ取ってほしいと思います。

そして、良い改修をするのには、腕の良い職人が必要だということも。この本の帯にもそう書いてありますよね。

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投稿日:2016年01月07日

事例紹介2016-56 東京都中野区


 

中野区A邸 詳細調査

報告:加部千賀子 / 加部設計一級建築士事務所

 

物件概要

■所在地:東京都中野区

■調査日時:2015年12月19日(土)

■構造規模:木造2階建て、半地下のガレージ付き。スキップフロアー。

■延床面積:113.22 ㎡(約34坪)

■築年数:築約27年

都心で好立地の閑静な住宅街。 依頼主Aさんは、終の棲家としてこの築21年の中古住宅を購入し、入居5年が経ち、1人暮らしの母親を呼び、一緒に住むことを決めました。しかし、このスキップフロアーが母にも将来の自分達にもバリアーとなると思い、使わなくなったガレージをつぶしてスキップフロアーをなくそうと考えました。高齢者にも愛犬にとっても住みやすい家に替えるよう私に設計を依頼されました。

1・2階共、既に2度のリフォームが行われ、今回のリフォーム対象は、1階のLDKと和室部分です。リフォームの設計着手前に、劣化状況や以前リフォームした時の不明な造りを知るために、詳細調査をする事にしました。

当日の調査隊は、住宅医・インスペクター5名、研修生5名、当事務所1名合計11名の構成。工務店も参加です。

 

調査にあたって

全員集合したところで、Aさんにご挨拶し、一室お借りし、資料の配布・全体ミーティングを行いました。

調査は①採寸・仕上げ ②外部劣化・外部設備 ③内部劣化・内部設備 ④1階床下 ⑤2階床下 ⑥小屋裏の6分野に分けて行います。工務店は、屋根の劣化状況と床・天井の開口部開けです。

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1階床下調査

和室の畳を上げ、荒床に開口を開けて入いります。

ガレージの壁は有筋だったが、一般基礎は、無筋。中2階の和室基礎は、一般基礎の上にガレージの壁の高さに合わせて、打ち増し(写真/下左)である。

基礎は、ハツリが4か所あり、無筋である事を確認。多分、ソーラー換気扇取り付け時によるものだろう(写真/下中)。

根入深さを確認=195㎜。

土台に関しては、西側土台に水ジミ。大引きに腐朽が見られた。雨漏りによるものと推測(写真/下右)。

カビは、大引き・土台に見られた。防蟻処理の薬剤散布を確認。2階床下から見えなかった筋交が確認できた。

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 2階床下調査

ユニットバスの天井点検口から、構造や劣化を見ます(写真/下左)。

木くず(写真/下中)や蟻の死骸(写真/下右)が見られた。黒蟻と漏水などによるものと推測。

DSC00670-UB点検口より IMGP0577東側出窓上部木くずIMGP0582-UB天井裏蟻死骸

小屋裏調査

小屋裏には、雨漏り跡などの顕著な劣化箇所は見られなかった。野地板(スギ)の含水率は、12.0~13.5%で、異常は見られなかった。

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お昼休み

食後、再び部屋をお借りし、午前中の調査で分かった事や問題点を話し合い、進捗状況に合わせて、調査分担を調整しました。

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劣化調査

内外とも劣化状況を2班で調べます。

屋根は、再塗装の剥がれが一部見られる。北側には、コケ(写真/下左)。外壁西面のモルタルにクラックが見られた。(写真/下右)

CIMG0825-屋根こけ・劣化CIMG0822-棟押えモルタルヒビ

深目地のタイル貼り外壁は、一部浮きと脱落あり。北側モルタル下地吹付けはクラックあり。

2階サイディングのジョイント部分は、コーキングの劣化とひび割れが多々あり(写真/下右)。

CIMG0823-サイデイングのコーキング

室内は、1階天井・壁の仕上げビニールクロスに、水染み・浮きを確認(写真/下左)。

その周辺外部2階窓周りにコーキングの補修後、有り(写真/下中) 

壁の仕上げビニールクロスのクラックは、スケールを当て、クラック巾を調べる。

 IMGP3535-1F天井水ジミ&クリス剥がれ窓のこーキングRIMG0330IMGP3485-壁ヒビ-スケール

採寸・バリアフリー調査

廊下・トイレ室内の広さ、トイレ・浴室出入り口の内法幅トイレ(写真/左下)、居室床・階段・浴室・トイレの段差を採寸します。

居室を含め全ての出入り口は、4方枠の納まりである。30~90㎜の床段差があり、跨がなければならない(写真/右下)。

IMGP3610浴室出入り口巾OLYMPUS DIGITAL CAMERA

設備調査

電気・給排水設備の機器の位置や給排水配管のルートを確認します。

量水器(写真/左下)、途中の排水枡(写真/右下)。 

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外部採寸調査

基準点を決め、地盤面の高さや建物や外構の一部を計測します。

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報告

夕刻、2階の一室で調査員の皆さまより、野帳見ながら調査報告して頂き、終了です。Aさんとワンちゃんに調査終了を告げて、解散です。

初めての調査で、至らぬ点が多々ありましたが、調査員の皆さまの手際よさと工務店の参加のおかげで、順調に終える事ができました。皆さま、ありがとうございました。今回の調査で抽出された問題点はリフォームに反映し、質の高い設計・監理に繋げたいと思います。また調査での疑問点が現場解体時に分かったら、調査員の方々にフィードバックしようと思っています。

 

加部設計一級建築士事務所 加部千賀子