投稿日:2015年03月09日

事例紹介2015-45 東京都国立市


文化住宅・旧高田邸 現地実測・調査会報告(速報)  住宅医協会 滝口泰弘

 

東京都国立市にある旧高田邸は、多数の書物を著し、東京商科大学(現一橋大学)と滝乃川学園の校医を務めたこともある文化人、高田義一郎の邸宅で、大正から昭和にかけての意匠を伝える貴重な文化住宅です。

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残念ながら3月末に解体されることが決まり、様々な関係者により、さよならイベントとして「旧高田邸と国立大学町~85年の物語」が開催されることになりました。

イベントの詳細はこちら

そのプレイベントとして、3/8(日)、一般見学会も交えた住宅医関係者による建物詳細調査を行いました。当日は小雨の降る寒い日曜日でしたが、住宅医スクールやその他関係者、合計25名に参加して頂きました。

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まず始めに、この企画を立てて頂いたスクール修了生の酒井さんを先導に、建物全体の意匠的なポイントや床下・小屋裏侵入口位置を確認するため皆で一周。

(酒井さん作、建物の見どころレジメはこちら→旧高田邸案内3-3 )

また今回の調査は、改修設計のための調査ではなく、住宅医というプロが調査を行っている現場や調査結果をまとめた展示品を、より多くの一般の方々に見てもらうことが目的で、そのまま展示として使える野帳を書く、ということに留意して調査を行いました。

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立面図スケッチチームは、田中さん、林さん、寺田さん。天候を伺いながら、建物の顔となる立面をスケッチ。高さや屋根勾配は、他のチームと連携しながら1日かけて完成させました。

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矩計図採寸チームは、小久保さん、石川さん、永井さん。各部位の高さや材料の構成について、床下や小屋裏も覗きながら1つずつ採寸していき、全体矩計図を完成させました。

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仕上げ、仕様チェックチームは、太田陽子さん、小南さん。各部屋の内装や下地材、開口部の仕様やサイズ、庇の位置や寸法、その他気になる納まり等、隅々までチェックしました。

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室内屋外劣化チェックチームは、伊東さん、越阪部さん。室内と屋外の劣化箇所について詳細に確認して野帳に記録し、柱や床の傾斜も計測しました。

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配置図採寸チームは、長沼さん、福島さん。道路幅や敷地境界寸法、建物位置や外構、主な植栽の位置などを記録しました。

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床下チームは、日野さん+新井さんと、安藤さん+土居さんの2チーム編成。基礎と土台に分かれ、伏図、劣化状況、構造要素、温熱要素を一通りチェックしました。

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2階床下、下屋チームは、小柳さん+山田さんと、小野さん+太田陽貴さんの2チーム編成。2階床下と下屋に分かれ、構造躯体や劣化の状況、接合部の詳細など、調査を行いました。

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小屋裏チームは、森本さん、板場さん。床下、下屋同様に、小屋裏内部に潜り込み、構造躯体の構成や劣化の有無など、隅々までチェックしました。

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あっという間にお昼となり一休憩。皆でお弁当を食べ、午後の作戦会議も行いました。

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午後も引き続き、調査を行いました。部分参加の志岐さんには、特徴的な階段部分の展開図とディテールを作図して頂き、担当箇所が終了したチームの方々にも、特徴的な部屋の展開図やディテールをスケッチして頂きました。

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調査中は終日、一般の方々の見学会も実施され、小雨交じりの天気でしたが、途切れることなく見学者が訪れました。最終的には100名近い来場があり、各調査チームの方々も、見学者との質疑応答や説明などを随時行い、交流しました。

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16:30、無事調査が完了しました。各チームの野帳や写真データを収集し最後に記念撮影も。ご参加頂いた皆様、誠に有難うございました!

17:00からはイベント「旧高田邸と国立大学町~85年の物語」全体の壮行会が開催され、こちらも50名近い関係者が集まりました。

 

調査結果や野帳は、同建物内で3/16~3/25まで開催される「旧高田邸解剖図展」で展示されます。開会まであと数日しかありませんが、酒井さん、日野さんを中心に展示物をまとめて頂く予定です。

どのような野帳にまとまったのか?診断結果は?

3/17、18:30~、三澤さん、田中さん、酒井さんによる建物調査解剖トークショーも開催されます。是非、現地までお越し頂けたら幸いです!

 

 

投稿日:2015年03月09日

事例紹介2015-44 兵庫県加古川市


兵庫県加古川市での詳細調査報告  MSD 日野弘一

 

調査の概要

■所在地:兵庫県加古川市

■調査日時:2015年1月24日(土)

■構造規模:木造2階建て

■延床面積:111.52㎡

■築年数:築47年(1967(昭和42)年)

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3世代5人で暮らす家。この家を改修して耐震性を確保できるなら、より住みやすい住環境に

できるのならばこの家で孫を育てたい。そんな希望を叶える為、建物の現状を把握するため

の調査を行いました。

この日は住宅医スクールの生徒の方など、合計13名に調査に参加していただきました。

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地盤調査はスウェーデン式サウンディング試験です。

地盤は良好で沈下の心配が少ない土地であることがわかりました。

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普段は見ることができない空間もしっかりと調査します。

建物の正確な仕様・状況を把握することで耐震の計算も正確性が増していきます。

基礎には大きな割れもないことが確認されました。

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鉄筋探査機による鉄筋の有無の確認、また部材の含水率を測定などは

専門の機械を使用して徹底的に調べていきます。

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今回は下屋空間も侵入が可能でしたので直接触れて腐朽などの劣化状況を調査していけました。

またかつての増築の痕跡など、家歴の裏付けとなるものも確認をしていきます。

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小屋裏も侵入して調査。状況は健全ですが、構造金物がないため補強が必要です。

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建物の劣化も全て確認します。

普段は目に付きにくい玄関の枠の蟻害や、庇の上側などもしっかり調査します。

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そのほか、構造・劣化のみならず、温熱・維持管理・バリアフリー・防対火と、

6つの項目で建物の状況を確認していきました。

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今回、特に目立ったのは外壁のクラック(割れ)です。

また床・柱の傾斜が大きいことも気になりました。この原因として、

二階の荷重がたくさんかかる柱の下に柱・壁がないことが考えられました。

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これがその二階の荷重がかかる柱です。この下に柱がないことで建物がゆがんで

いるのではないかと予想しました。この建物で三箇所、同じ構成の箇所があります。

屋根の仕上げもずれているのか、構造材への水しみが確認されました。

構造的にも不安定で、水しみまであって大変・・・

と思いがちですが、逆にここを改善すれば構造補強だけでなく、劣化の対策にも

なる可能性が高いということになります。

原因までしっかりと検討することで、効果的な改修案を練ることができます。

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報告書のプレビューを経て、報告書はすでに納品させていただきました。

この報告書は建物の性能向上のための改修の手助けになれると思います。

家族の歴史の刻まれたこの家で、お孫さんが元気に成長することを願っております。

 

MSD 日野弘一