投稿日:2015年03月09日

住宅医コラム 意見交換2015-52


妻にとっての定年リフォーム
宝塚Iさんの場合 ~ その3
 初めての訪問。事前調査の日

三澤文子(MSD)

 

2013年9月17日、事前調査に訪れた Iさんのお宅がある宝塚市。成熟した住宅地という印象の周辺は、各敷地面積が90坪~100坪程度、建蔽率60%で、緑もありつつ、適度に密集していながら落ち着きもある。そんな住宅地の中で Iさんのお宅を見つけたが、まずは隣の家が目を引いた。(後から伺えば建築家 出江寛氏設計の住宅であった。)

 

picture1 出江寛氏設計の住宅

 

picture2 調査依頼のあった Iさんのお宅の内部

Iさんは、外に出て待っていてくださり、ご主人が玄関で出迎えてくださった。そこから室内に入りながら、思わず「いい感じだな~。」と口に出してしまった。よく言う1950年台モダン住宅にある渋いデザインの空間が目に入ってきたのだ。それは、どこか懐かしく落ち着きのある「おへや」。そう、あの時代に舞い戻ったような不思議な感覚になったのだった。

 

 

3 「問診票」

さて、事前調査では、まず聞き取り調査から始める。持参した「問診票」に沿って、建物の履歴を伺う。そもそもご主人の会社の社宅であったこの住宅を買い取り、持家にしたのが2008年、いつかリフォームを。という思いから、ほとんど手は入れていないそうだ。それにしても、いつもこの聞き取り調査で思うのが、<いつ>、どのようなリフォームを行ったのかということの <いつ> を思い出すことが、なかなか難しい、ということ。それは、自分が同じように思い出そうとして、なかなかはっきり答えられないことからも解るのだが、聞き取りでの質問のしかたを、「お子さんがいくつの時にそれをしたのか?」といった聞き方をすると、<いつ>が 解ることが多い。Iさんも、「娘が高校入学のときに関西に引っ越してきて、ということは1994年で、次の年に震災にあって、」と、すらすら語っていた。

 

4 浴室は木製シングルガラスの建具

項目に沿った聞き取りでのやりとりのなか、とにかく印象に残ったのが、ご主人の言われた「冬になると、毎日のお風呂は決死の覚悟ですよ。今年の冬も越せるかどうか…。」という発言。ご主人の身内には循環器系の疾患でお亡くなりになっている方がいて、そのことから、かなり心配しているからだそうだ。ユーモアを交えた口調ながら、隙間風の入る浴室は外気とほぼ変わらない印象で、その眼は真実味を帯びていた。

 

 

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大工さんがヘルメットをかぶっている。先進的だ。

 

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左手が大工さん、右手が1級建築士さんか?それにしてもカッコイイ!

 

幸い、図面があったので、全ての部屋と外部をひと廻りしての写真撮影を行い、事前調査はほどなく終わったが、帰り際に Iさんが探し出して見せてくれた建設当時の施工写真に、思わず目を見張った。昭和37年当時、オシャレでイケメン青年大工たちが建て方をしている様子。図面には1級建築士の登録番号も記されていた。

 

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1級建築士の登録番号は19000台。私は190000台。桁が違います。

 

これらの事前調査で28坪ほどの平屋木造住宅の全体をざっくり把握することができた。これをもとに、詳細調査について調査計画を立てることができるし、Iさんにお渡しする、「詳細調査見積書」を作成できる。詳細調査の日程を2013年10月23日と決めて、Iさんのお宅を後にした。

(つづく)